君がメガネを外す時





「先にケンカ売ってきたのは洸太だもん」


お兄ちゃんの腕にしがみつく。



「バーカ、バーカ、洸太」


「ガキかよ」

あ、笑った。



この笑顔にはいつも負けてしまう。


わたしたち幼なじみにしか見せない素顔。



「洸太、いつも笑ってればきっとモテるのに」


お兄ちゃんと手をつなぎなおしながら言う。



「別にもてたいとか思ってないから」

「ふーん」



もったいない。




まあ、お兄ちゃんには負けるけどね。





< 8 / 158 >

この作品をシェア

pagetop