きみと世界が終わるまで


僕を包み込むようなまばゆい光が辺り一面にちらつき、暗闇の中に光の粒がたくさん浮かぶ。


……その光景はまるで、ホタルがそこらをゆらゆらとさ迷っているようだった。


なんだろう、これは。


急に異次元に迷い込んだかのような錯覚と、目の前に広がる不思議な光。


なにも分からず、その場にただ立ち尽くすだけの僕。


海水につかった膝下は、もう感覚もなにもかもなくなっていた。


「……優太」


僕はハッとして、目を見開く。


そして振り返った。


「え?嘘……」


驚きのあまり言葉を失う。


次に僕の口からでてきたのは、口の中がパサパサと乾いたような乾き笑いだった。


「……ははっ、まさか」


僕は幻覚を見ていて、きっと幻聴が聴こえているのだろう。


とうとうここまできたか。


僕は死ぬのだろうか。


だってこんなこと、あり得るはずがない。


会いたいと思っていたもうこの世にはいないきみが、僕の前にこうして立っているなんて、どう考えたってありえないじゃないか。


……そうか、とうとうゆりあに会いたいと何度も思うあまり、僕の体は幻覚や幻聴まで引き起こすようになってしまったんだ。





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