浮気男に逆襲を!
オフの夜はカフェテリアで。
アッくん先輩とのファーストキスから早2日。
「はぁ……疲れた」
麗しい日曜日の午後7時、あたしはとある男のせいでクタクタになっていた。
「何を言う。たったこれしきでもうへばったのか!」
今のご時世なかなかお目にかかれない見事な角刈り頭をお持ちの、身長190cmスレスレの巨漢。
その名も、中沢爛馬(ナカザワ ランマ)。
あたしより3歳年上の、正真正銘実の兄貴だ。
「へばるに決まってんでしょ! トータルで何キロ走ったと思ってんの! ?」
「そんなにわめく程ではないぞ。たかが8キロだ」
「たかがって…」
「ほら、文句はそこまでにしてさっさと足を動かせ。お前はしっかり筋力つけて、男どもから身を守る必要があるんだからな」
などとワケの分からない持論を訴えるこの男は、父にも母にも全く似てない泣く子も黙る強面で、体を鍛えることしか能のない単細胞系男子。
普段は地方の体育系大学に通う寮生さんなんだけど、たま~にこうして我が家に帰省しては、あたしの体力測定を敢行する厄介な存在。
心配してくれる気持ちは嬉しいけど、この暴挙はハッキリ言って大迷惑。
おかげでせっかくのオフが台無しだよ。