浮気男に逆襲を!


案の定、先輩はさっきまでのシュンとした様子を一変させて、小悪魔モードに突入。



「マジ? ならもっかいするよ?」


「いや…それは、えーっと……」



目を泳がせるあたし。


先輩は小さく笑って、チュッと軽いキスを落とした。



「とりあえず、今はこれで我慢しとく。歯止めきかなくなったらヤバいし」



歯止めって…。


それ、少なくとも朝言う台詞じゃないよね?


胸キュンメーター振り切りそうだわ。



「そんじゃ、気を取り直して……」



何事もなかったように拘束を解いて、スッと手を差し出してくる。



「行こっか。りん」



ふわりと優しく微笑む。


あーもう。なんて爽やかなんだ。


心臓わしづかみだよ。



「……うん」



キュッと手を握って歩き出す。


それは、 "本当の恋人" としての第一歩。


黒く淀(ヨド)んだ復讐の上に成り立つ架空の関係じゃなく、純粋な恋愛がスタートしたんだ。


ほんのり甘酸っぱい初めてのキモチ。


何だかとても幸せで、胸がいっぱいになった。


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