浮気男に逆襲を!


というあたしのささやかな願いは、ものの見事に喧騒に呑み込まれてしまい。


結局その後も香りの拷問が続き、憂鬱モード&負のオーラ全開という地獄絵図を描きあげた。


……んで、現在。昼休み。


購買でチョココロネとあんぱんを買い、あたしのオアシスこと屋上へ急ぎ足で向かう。



「あ~…なんかどっと疲れた」



深ぁーいため息をこぼしながら、いつものように廊下の角を曲がろうとして──



「伸平……今の、どういう意味?」



わなわなと震えた、聞き覚えのあるソプラノボイスが耳に届いた。


その正体が新カノさんだと気付き、思わず足を止める。



「言葉通りの意味だ。何度も言わせんな」



次に聞こえてきたのは、彼女とは対照的に落ち着きはらった低い声。



言わずもがな、塚原伸平だ。



< 145 / 265 >

この作品をシェア

pagetop