浮気男に逆襲を!
というあたしのささやかな願いは、ものの見事に喧騒に呑み込まれてしまい。
結局その後も香りの拷問が続き、憂鬱モード&負のオーラ全開という地獄絵図を描きあげた。
……んで、現在。昼休み。
購買でチョココロネとあんぱんを買い、あたしのオアシスこと屋上へ急ぎ足で向かう。
「あ~…なんかどっと疲れた」
深ぁーいため息をこぼしながら、いつものように廊下の角を曲がろうとして──
「伸平……今の、どういう意味?」
わなわなと震えた、聞き覚えのあるソプラノボイスが耳に届いた。
その正体が新カノさんだと気付き、思わず足を止める。
「言葉通りの意味だ。何度も言わせんな」
次に聞こえてきたのは、彼女とは対照的に落ち着きはらった低い声。
言わずもがな、塚原伸平だ。