浮気男に逆襲を!
「ほら。早く来いよ」
「やだってば」
断固拒否って、横になったままさりげなく距離をとる。
それを見た先輩は少しムッとした表情になり、ぐいっと強引にあたしを引き寄せた。
「ひゃっ…! ?」
気付けば、あたしは先輩の程よく筋肉がついた腕の中に閉じ込められていて。
ぴったりくっついた胸から聞こえてくる心臓の音とか、背中に回された大きな手とか、全身から伝わる体温とか……
こんなんドキドキしない方がおかしいでしょってくらいのシチュエーション。
少女漫画の世界に迷い込んだ気分だわ。
「りん、すげーいい匂いすんな」
あたしの頭に顎をのせて、甘い声で囁く。
不覚にもクラッときちゃったよ。
「せ…先輩こそ。洗剤なに使ってんの?」
いささかムードクラッシャーなことを聞いてみる。
先輩はクスッと笑って、より強くあたしを抱き締めた。
「りんが嫁になったら分かんじゃね?」
「はっ! ?」
よ、よ、嫁だと!!?
何いきなりトンデモ発言してんだこの男は!