浮気男に逆襲を!


で、それから数日後の5月初旬。


俺はとうとう行動を起こした。



「あのさ…中沢」


「何?」


「俺と付き合ってくんねぇかな」



は? って顔で固まる中沢。


日常会話すらほぼ無いはずの男から告られて、完全に放心状態だ。


俺は笑いをこらえながら、真剣な表情を作ってじっと彼女に視線を注ぐ。


これでオチなきゃ女じゃねーよ。


ついつい得意気になる俺に、中沢は意外すぎる台詞を吐いた。



「いやー、そう言われても……あたし、塚原くんのことよく知らないし」



アハッと能天気に笑う彼女に、目が点になる。


し、知らないだと…? この俺を! ?


お前、この前 "同じクラスだったから知ってる" とか言ってただろーが!


愕然として、握り拳に力がこもる。


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