浮気男に逆襲を!
「 "伸平" でいい」
真顔で言い放った俺を見て、一瞬ピタリと固まる彼女。
だがすぐいつもの調子に戻って、ニカッと屈託なく笑った。
「了解でっす。これからよろしく、伸平」
びしっと軽く敬礼をキメる。
な…何だそりゃ。
あまりにも普通すぎて、俺は今度こそ本気で拍子抜けしてしまう。
もっと何かあるだろーが。
『いきなり呼び捨てはちょっと……恥ずかしいかも』
的なヤツ。
何だ "了解でっす" って。しかも意味不な敬礼付きだし。
どこまで自由人なんだよこの女は。
ため息と共にがっくりとうなだれる。
だが、勝負はまだこれからだ。
必ずその中沢感を崩してやるから、首洗って待っとけよ。
などと我ながらよく分からん宣戦布告を心の中で呟いて、俺はすごすごと教室へ入っていった。