浮気男に逆襲を!
"俺のこと試したのか" だの、"浮気して悪いか" だの、八つ当たり&開き直りモード全開で罵る俺の姿は、さぞかしみっともなかっただろうな。
その証拠に、頭1つ分下にある中沢の顔はポカーンと呆れ返っていて、それが余計に俺をイラつかせた。
「あーもーマジうっぜぇ。俺、なんでお前みたいなやつと付き合ってたんだろ」
別にこんなことを言いたかったわけじゃないのに、無意識に口走ってしまった残酷な言葉。
だが俺は悪びれた素振りも見せず、唖然とした表情で固まってる中沢に "2度と彼女面すんな" と念を押して、スタスタとその場を離れた。
そして足早に廊下を歩き、俺は何とも言えない心地よさを感じていた。
屋上を後にする直前に見た彼女の顔は、どこかショックを受けていたように見えて。
俺の言葉に傷ついてくれたのかと思うと、さっきまでの悶々とした気分が一気に払拭されて、アイツの色んな顔を引き出したいという気持ちが強くなった。
もっと困らせてやりたい。
そして、どうしても俺じゃなきゃダメだと言わせてみたい。
そんな奇妙な理由で、俺はどんどん最低な男へと堕ちていったんだ。