浮気男に逆襲を!
「関係あるさ。悪ぃけど俺、中沢ちゃんのこと本気だから」
「は…?」
「ここに来たのだって、告るためだしな」
「!」
真剣な表情で言い切る岩崎に、俺はゴクリと生唾を飲んだ。
それでも何とか口元を歪め、余裕の笑顔を作ってみせる。
「アイツは昨日まで俺と付き合ってた女だぜ? そう簡単には手に入らねーよ」
そんな俺の精一杯の強がりは、岩崎の全てを見透かすような瞳に呑み込まれた。
「それは中沢ちゃんが判断することであって、お前が決めることじゃない。それに──
もしフラれたとしても、お前みたいなヤツには渡せねぇな」
低い声で静かに吐き捨てると、岩崎はくるりと背を向けて歩き出した。
まるで、これ以上話すことはないとでも言うかのように。
「クソッ…!」
心の奥からわき上がるどす黒い感情が、俺の拳を壁へと向かわせる。
何度も何度も、血が出そうなくらい殴った。
……腹が立ってしょうがねぇ。