浮気男に逆襲を!
そんな身勝手な決意を固めていた俺は、翌朝心臓が飛び出そうなほど驚くことになる。
「おはよ~」
にっこり笑って教室に入ってきた、ピンクを基調にしたナチュラルメイクがよく似合う、長い黒髪を軽く巻いた1人の美少女。
それがあまりにもどストライクすぎて、俺はあんぐりと口を開けて固まっていた。
誰だよ……アレ。
すげー好みなんだけど。
って、昨日ようやく中沢への気持ちに気付いた身の上のくせに、何考えてんだ俺は。
ぶんぶんと首を振って、我に返ろうと必死になるが…
クラスメートから転校生かと聞かれた彼女が、何てことなく発した言葉に愕然とした。
「中沢だよ。中沢凛花」
はぁ! ?
こ、こいつが中沢だと!!?
頭の中を鈍器で殴られたような感覚がして、開きっぱなしの口を閉じることも出来ずにいる俺のもとに、飄々とした笑顔で近付いてくる彼女。
だが俺に対しては何も言わず、そのまま静かに俺の隣の席に腰かけた。
……信じがたいが、今の話はガチらしいな。
唖然として固まる俺をチラ見してクスクス笑ってやがる余裕っぷりも、どこかアンニュイそうに口を尖らせて考え込む仕草も、間違いなく俺が知ってる中沢凛花の姿だ。