浮気男に逆襲を!
昨日来なかったと思ったら、家で女子力磨きなんかしてたのか。
まさか……俺のため?
ふとそんな考えが脳裏をよぎり、らしくないことこの上なくドキリとしてしまう。
だが──
「あのさぁ。今日、中沢凛花ちゃんって来てる?」
俺の淡い期待を打ち砕く男が現れた。
やっぱり来やがったか……岩崎篤斗。
内心舌打ちしつつ、横目で2人の様子をうかがう。
何やら笑顔で二言三言会話を交わし、彼女は奴の手に引かれて教室を出ていった。
途端にざわざわと騒がしくなる室内。
「ねぇ! あの人って昨日も中沢ちゃん目当てで来てたよね! ?」
「きゃーっ! もしかして告白! ?」
「いいなぁ~! !」
頬をほんのり赤らめてそんなことを言い始める女ども。
……うるせぇな。
みるみるうちに不機嫌になる俺を、誠人が不思議そうに見てきた。
だが意外と空気は読めるので、とやかく突っ込んできたりはしないけどな。
ふぅ…と小さく息を吐き、俺は机に頬杖をついて窓を見つめた。
あの2人がうまくいかないことを、心のどこかで祈りながら。