浮気男に逆襲を!
中沢が戻ってきたのは、一時間目が終わった後の休み時間。
さっき告白がどーのと騒いでた女子の集団に囲まれ、微妙に顔をひきつらせながらも笑顔で応対している。
そして、ポーカーフェイスで成り行きを見守っていた俺の耳に届いた言葉は──
"付き合うことになりました"
マジ……かよ。
俺と別れたばっかだってのに…。
やっぱりお前は、俺のことが好きじゃなかったってことか?
それとも、俺に捨てられた腹いせか?
そんなことをぐるぐる考えていると、話は思いもよらぬ方向へと進んでいった。
「やっぱ可愛いは正義だね~」
「これならすがる必要なんてなかったんじゃない?」
などと余計なことを口走る女ども。
すると、中沢は「おっ」と小さく声を発して、僅かに口角を上げる。
そして深く息を吸い込み、事も無げに言った。
「や。そもそもあたし、伸平になんてすがったおぼえないし」