浮気男に逆襲を!


だがしかし、俺の堕落はそれだけでは終わらなかった。


初デートを終えたあの2人は、端から見ても文句なしにお似合いの恋人同士になっていて……


中沢は岩崎の言動一つ一つに頬を朱に染め照れたり喜んだり、俺と付き合っている間には決して見せなかった "女の顔" を出現させるようになった。


それが腹立たしくて、俺は何度舌打ちをかましたか分からない程の絶賛ムシャクシャ状態。


だから、2人が待ち合わせた屋上に続く廊下で待ち伏せし、意味不明なことをまくしたてながら彼女に迫った。


まぁ、岩崎に止められて未遂に終わっちまったわけだが……これにより、俺の気持ちはより確かなものになっていく。



誰にも渡したくない。


俺だけのモノにしたい。



もっと早く気付けていれば、中沢はまだ俺のもとにいたのだろうか?


考えれば考えるほど、己の愚かさが悔やまれてならない。


それでも、一度知ってしまった想いはどんなにあがいても消えることはなく……


それから2日後の日曜日、テキトーに街をぶらぶらしていた時に偶然会った結衣に誘われ、近くのカフェで晩メシを食っていた時。


俺は、最悪の光景を目の当たりにした。


公衆の面前で、あの2人が──キス、していたのだ。



「……!」



俺の目が、驚愕に見開かれる。


そして同時に、自分でも抑えられないくらいに黒い感情が爆発した。



"嫉妬"



そんなものを抱いたのは初めてだった。



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