浮気男に逆襲を!


「い、い、いててっ! ギブギブ、ギブッ!」



ばしばしと地面をタップする伸平をさらに締め上げ、あたしはこれまでためこんできた怒りを矢継ぎ早にぶつけていった。



「一体何人の女の子不幸にしたら気が済むんだこの悪党! 面白半分で人のことからかって、傷つけて、結果的にアンタが得たものは何! ?」


「……ッ!」


「既成事実がどーのとかワケの分からん理由であたしをおとしめておきながら、今さら好きでしたなんて言われてハイそーですかって受け入れられるとでも思ってんの! ?」



叫んでるうちに怒りボルテージがMAXになってしまったあたしは、もはや自分でも制御できないくらいのブチギレ状態。


奴を拘束する腕に自然と力がこもり、昨日同様女子らしからぬ歯ぎしりをかましてしまう。


まぁプロレス技だし、歯食いしばるのは当たり前なんだけどー。


とかなんとか心の中で言い訳しつつ (一応彼氏持ちの乙女ですから)、オーバーヒートを続けるバトル脳女子こと中沢凛花である。



「アンタがあたしをどう思ってようと、あたしが好きなのはアッくん先輩なの!

アンタが何をしようとあたしはもうアンタを好きにはなんないの!

だからまたあんな強姦まがいなことしたら、今度はガチで通報してやるからね!

この最低最悪浮気男がっ!!!!」



まくしたてるような絶叫が、静まり返った裏庭に響き渡る。


それが会心の一撃となったのか、伸平は抵抗をやめてすっかり鎮静。


まるで借りてきた猫のような大人しさだ。



「……ごめん」



そして突如聞こえてきた短い謝罪。


うわぁ。なんたる急展開。


まさかまさかのお言葉に、動揺を隠しきれない所存であります。ハイ。


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