浮気男に逆襲を!
「だからしっかり反省して、自分がやったことに対して責任とんな」
「責任って…」
「まずは、アンタの身勝手に付き合って泣かされた、新カノさんにきっちり謝罪すること」
「結衣に?」
「当たり前じゃん。本気で好きなわけでもないのにあんなことして…。謝ったって許してもらえるかどーかってレベルだよ」
"あんなこと" とは、あたしが破局直前に屋上で見た、口に出すのもはばかられるあの行為のことである。
どうやらあたしの言葉の意味が分かったらしい伸平は、ハッと目を見開いたかと思うと非っ常ぅ~にばつの悪そうな顔で視線を逸らした。
そしてあたしに負けず劣らずのわざとらすぃー咳払いを落として小さく頷く。
「分かった…。ちゃんと謝るよ」
そっぽを向きつつの言葉ではあったけど、きっと嘘じゃないだろうと思った。
だって、その焦げ茶の瞳は、今まで見たことがないくらいキラキラしてるもん。
それはきっと、夕日の光に照らされたからじゃなくて……
「ありがとうな。中沢」
昨日のあたしと同じように、新生・塚原伸平が誕生したからじゃないかなって。
いささか (と言うかかなり) アホっぽい表現ではあるけど、何だかそんな気がしたんだ。