浮気男に逆襲を!


「──その辺にしといてやれよ」



またも背後から聞こえた声に振り向けば、そこにはよぉーく見知った "あの人" が神々しく佇んでおりました。



「……って、言いたかったんだろ? りん」



そう。なんと、あたしの彼氏にして3年のドン・岩崎篤斗サマでありんした!


思わぬところから助け船を出され、唖然として口をパクパク動かすあたし。


それを可笑しそうに笑いながら、パチッとくり出してきたさりげなさ100%のウインクに卒倒しそうであります。


と同時に、ハッと思い出した。


昨日アッくん先輩が言ってた、イケメン度MAXの爽やか台詞。



『俺はいつでも味方だからな』



もしかして…またあたしが伸平に何かされた時のために、こっそり見守ってくれてたとか?



「ってことは、まさか…!」



みるみるうちに真っ赤になる顔を両手で隠し、ひたすら羞恥に耐える中沢凛花(16歳)。



み、見られた……4の字固め……っ!



あーあ。なんてこったい。


今なら恥ずかしさで死ねるね。


はあ~っと魂が抜け出そうなくらいのため息をつくあたしに小さく吹き出し、長い脚でスタスタと歩み寄ってくる愛しの彼(爆)。


またイジられるかと身構えるあたしを優しい目で見つめた後、先輩はキッと顔を引き締めてみんなに向き直った。


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