浮気男に逆襲を!
お次はいつものようにピンクを基調にしたナチュラルメイク。
服装とよくマッチしてて、何だか普段より華やかに見える。
「さて…と」
問題は髪型だよねー。
巻き髪ポニテはもう飽きたし、ただ巻くだけってのも味気ないなぁ。
うーんと考えあぐねていると、コンコン。
慎ましやかなノック音と共にドアが開き、まだ四十路にはとても見えない若々しい美人さんことあたしの母・中沢広子(ヒロコ)がやって来た。
「凛花、支度できた?」
「や、まだ。何か髪型が決まんなくてさ」
「いつも通りでいいじゃない」
「ん~、まぁちょっと気分転換的な」
「ふーん…。なら、今日はお母さんがやってあげる」
「えっ、いいの?」
「もちろん。私こういうの得意だから、大船に乗ったつもりでいなさい」
「……では、お言葉に甘えて」
「お任せあれ♪」
なんという救世主!とばかりにグッと拳を握りしめ、アッくん先輩よろしく瞳をウルウルさせてみる。
途端に呆れ顔が返ってきたけど、まぁそこは気にしたら負けですな。
そんなわけで、そっと髪に手が触れる感覚を境に、あたしはゆっくりと目を閉じた。
次に鏡を見た時、どんな変身を遂げているのか期待を膨らませながら。