浮気男に逆襲を!


「──はい、完成」



という、母のやりきった感あふれる美声が耳に届き、あたしはおそるおそる目を開けた。



「……うわ……」



ビックリして、思わず声を漏らしてしまう。



「どう? 可愛いでしょ」



クスッと小さく笑う彼女に、全力で尊敬の眼差しを向ける。


いや~、これはちょっと……スゴいな。


張りつくようにして鏡を見つめ、ほぅ、と感嘆の息をついた。


綺麗な編み込みが施されたおだんごが、ポンッと頭の上にのっかってるようなヘアスタイル。


白とピンクのレース仕立てのシュシュ (断じてあたしの私物ではない) もつけられていて、これでもかってくらいガーリーな仕上がりだ。



「何をどーしたらこんなに女子力高くなれんの?」


「ま、努力の賜物ってやつよ」



フフンと見事などや顔をキメる母。


ちっとも参考になりませんです、ハイ。


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