不良リーダーの懸命なる愛
え!?



何!?



なんなの!?




先ほどの恐怖がまだ続いているためか、私の体はカチンコチンに固まっていた…。



「じゃ、ピュア子ちゃん!また会おうねん!俺、ピュア子ちゃんのこと、大好き・だ・か・ら!」



「キャアッ!!」



最後にぎゅっと抱きしめられる!



そして猛スピードで逃げられてしまった!



「なっっ!!!~~~っオイ!!てめえぇーー、准平ぇーーーー!!!!!」



理人先輩のこれまでにないほどの怒りの声が、廊下に響き渡った……。



「まぁ、理人。落ち着けよ。」


ヤス先輩?がなだめる。



「あの野郎…!シメるっ!!!」



ひえぇぇ!!!



こ、怖い!!



なんだか理人先輩の目が一瞬、光ったように見えた!


「理人…。まったく、普段は冷静なのに。なんだって、こんなことになっちまったんだ?」


はぁ~。とヤス先輩がため息をついている。



はぁ…と私もつられて小さくため息をついてしまった。



それはこっちの台詞だよ…。



もう、いやだよ。



う~。

と心の中で唸っていると、



理人先輩と目がバチっとあった!!



ひゃっ!!!



怖くて思わず俯いてしまった私……!


理人先輩は、一歩ずつ私に歩み寄ってきた!



本当にどうしよう!!!



公開処刑が執行される!!??



どどどうすればっ!?



ギュッと目をつぶる……!




すると。





「大丈夫か?」





へ……?





予想外の言葉を投げかけられた。




びっくりして顔をあげた私…。



そこには思ってたより間近に理人先輩が立たずんでいた!



た、高い……高すぎる!!



見上げるほど大きくて、まるで建造物を見ているかのよう…。



ふいに目が合う!



するとなぜか理人先輩は、それまで威圧的態度が一変。


どこかよそよそしくて、顔もあさっての方向を向いていて…。


でも優しい声色でしゃべりかけてきた。



「な、なんか、その…。す、すまねー…。また迷惑かけちまったな…。俺からあいつに、キツく言っとく。」



え!?



あ、あれ??



吊るし上げ……やらないの、かな?



すまきにして川に放り込みは!?



やらないの!!?



それともまだ私が昨日の盗み聞き女って気づいてない!?



と、とにかく、今は、何か答えなきゃっ!


「い、いえ!そ、そそそそんな滅相もありませぬ!!」



う……。どもっちゃったよ…!




「そ、そうか。………………怪我。」


「……え?!」


「怪我……してねーか?」


「は、はいぃぃ!!き、傷一つ、無いであります!」


「はぁ~。そうか……よかった……!」



…………え?



今の声……、



なんだか、すごく……。




と、そこへ。





「キャーー、理人だぁ!!」


「ホントだ!!今日どーしたの?!珍しく早いのね!!」


「理人、朝ごはん食べたぁ?メロンパンあるけど食べるぅ??」




な、何この群衆!!!




突然現れた女子生徒の群れがやってきて、私はわけもわからず、

あっという間に弾き飛ばされてしまった…。


「ちょっ!?いったいなんなんだよ!!?」


理人先輩も意表を突かれたみたいで、目を見開いてる。


「あ、霧島くんだ!今日もやっぱりかっこいいよね。」


「ね~!モデルみたい!!」



ん?



よくよく周りを見渡すと、近くには来ないけど、そこにいる女子全員が、理人先輩を見ていた。


「理人ーー!こっち向いてよ~!3日ぶりに理人に会えたんだから~。」


「そうだよ!理人サボり多くてどこにいるかもわかんないしー!」


気がつくと、理人先輩の両腕に何人かの女の子たちが腕を組んでいた。



そしてあっという間に理人先輩は女の子たちに囲まれて、連れていかれたのだった…。



私はただただ呆然。



す、すごかったな…。



あの女の子たちはいったい…?



その後に続き、ヤス先輩たちが後を追っていく。




集団はひたすら廊下を進んでいった……。




あ!そうか!



先輩だから1階の教室なんだ!



ということは、3年生の人達だったんだ!!



1階は3年、2階は2年、そして3階は私達1年。


だから階が違うのも頷ける。


と、とにかく、また上級生たちに絡まれる前に、早く自分の教室へ避難しよっ!



目の前の階段を駆け上がり、3階に到着するとやっと肩の力が抜けた……。



はあぁ。


朝から心臓に悪かった……!



そして教室に向かうため顔をあげると……。




なっ!!!




私は驚きのあまり、瞬きすら忘れてしまった!


だって、さっきの集団が同じ階にいるからだ!



そしてある教室に入るのが見えた。



え!!?




あそこって……間違いじゃないよね!??



彼らが入っていった先はなんと、まぎれもなく1年生の教室!


私のクラスの隣のまた隣、
7組の教室だった!!




な、なんで!!??
< 10 / 151 >

この作品をシェア

pagetop