不良リーダーの懸命なる愛

占領

それから二週間ほど過ぎた、ある放課後の図書室。




梅雨の時期に入って、連日雨が続いていた。今日もあいにくの天気で、朝から雨が降りやまない。


そんな中、今週の図書室の受付当番は5組の私たち図書委員がやることになっている。


放課後の時間が削られるので、今週のバイトはシフトをほとんど入れられなかった。


図書委員の私と唯ちゃんは、貸し出しの本や本棚の整理など、仕事をこなしていた。


いま図書室には十数人の生徒がいる。





「それにしても、図書室って涼しいよね!」


唯ちゃんが本棚の整理を終えて受付へと戻ってきた。


「そうだね!空調が完備されてるから居心地いいよね。」


だからか、図書室に涼みに来る生徒も中にはいる。


「そういえば咲希ちゃんのオススメの本、私読んだことないんだけど、どういう話なの?」


「ん?あれはねー……」


受付の前の机には、
図書委員の“今月のオススメ”として、オススメの本と図書委員の名前、それとちょっとした感想が書かれている。


今月は私たちもその当番だから、一人二冊提出していたのだ。



ストーリーの内容を説明していたとき……。





「お!!マジこの部屋ちょー涼しい~!」



ガヤガヤと5、6人の男子が入ってきた!



し、しかも……あの姿は!



「ね、ねぇ、咲希ちゃん。あの人たち………もしかしたら問題起こすので有名な2年の先輩かも…!」


唯ちゃんが小声で情報をくれた!



うっ…!


や、やっぱりそういう関連の人たちか……。



青いネクタイをしている人もいるから、2年生だとすぐにはわかったけれど……。



でも問題起こすって!?



何を!?



しかも飲食禁止なのに、アイス食べてるよ…!



「つ、つまり、不良生徒……ってことだよね…?」


恐る恐る唯ちゃんに尋ねる。


「う、うん、そうかも……!」


さっきまで静かな時間が流れていた図書室。


しかし彼らの占領でその時間はやぶられてしまったのだ!!



ど、どうしたらいいんだろう!?



その2年の先輩たちがやって来たことにより、

お菓子の匂い、


笑い声が辺りに響いていて、とんでもないことになっていた!!



我慢できず、図書室から出て行く生徒もいるが、他の残っている生徒はただただ呆気にとられているみたい……!



恐怖で動けない生徒も中にはいるみたいで、俯いて固まっていた!



どうしよう!



このままじゃ、本当に図書室を利用したい生徒に迷惑がかかってしまう!!



でも……





ギャハハハハハハ





騒いでる声は一向にやむ気配は無い。



それどころかエスカレートしている!!



雑誌を無造作に広げて、お菓子や飲み物も自由に飲食している。


「お。蓮!見てみろよ!おまえの好きそうな巨乳のグラドルが載ってるぜ!」


「あぁ?べつに俺巨乳好きじゃねーし!」


「でもオンナはやっぱし、あってナンボじゃん!?」


「ハイハーイ!オレは無いのが好き~~!」


「てめえにはきいてねーって!」


「じゃあ蓮は、乳よりケツ派かっ!」


「ちげーって!俺は……脚だな!」



オォ~~!




な、なんか、


すごくプライベートの話を堂々とされている……。



「ど、どうする咲希ちゃん!?先生、呼んできた方がいいよね……!?」


困り果てた唯ちゃんは、先生を呼びに行こうとした!



とその前に、



ガチャ。



とドアの開く音がした……。
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