不良リーダーの懸命なる愛
「……………………ありがとな、オッサン。」


俺の心の穴を一瞬にして埋めてくれたヤツは、
今のところオッサンただ一人だ。


「ん?年相応の顔つきになってきたな?」

「年相応………って、俺が子供だって言いてぇのか!!?」

「子供だよ。まだ中学生だろ?だから自分の内側を、もっと周りにさらけだせ!子供が大人ぶっても良いことないぞ。」

「んだよ!また説教かよ。」

でも、なんでだろうな。

悪い気はしねぇんだよな……。

このオッサンに言われるのは。


この時の俺はなぜそう思えるのかはわからなかったが、
今の俺からしてみると、オッサンの言うことに “裏” なんてもんは微塵もなかったからだ。

全ての紡ぎだされる言葉が本心から出た言葉だったから。


飾ってなんかいねぇ!


そう悟れる。

「じゃ、時間も遅いし、今日はここまでだな。」

と、オッサンが立ち上がる。


「ちょっと待てよ!もう……行くのかよ。」

なんか拍子抜けしちまうな…。

あんなに真剣に話した後なのに。


「あぁ。また今度会おうな。」


スタスタとオッサンは歩いて行ってしまう!
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