不良リーダーの懸命なる愛
第一章
始まり
高校1年の春、ようやくクラスの雰囲気にも慣れ、授業のカリキュラムも頭に入ってきた今日このごろ。
私、鳴瀬咲希は一番後ろの窓側から2列目の席に座って、のんびり外を眺めていた。
もう桜の花も散り、若葉が茂っている。
今日は指定のブレザーがいらないくらい暖かい気候だ。
今は4時間目の現代文の授業中…。
小テストの時間で、問題を解き終わった私は暇をもてあましていた。
キーンコーンカーンコーン
「ハイ!そこまで。後ろの人、集めてきて」
先生の合図で教室がガヤガヤと騒ぎだす。
私は集めたプリントを提出して、自分の席に戻った。
はぁ〜お腹すいた!!
伸びをしてお弁当を出そうと鞄を机の上に置くと、
「咲希!お昼食べよ!」
と、元気な声が聞こえてきた。
「うん!あれ?ちーちゃん、今日お弁当なんだ!いつもパンなのに」
「いや〜、たまにはさ。毎日パンだとさすがに飽きてくるからね」
と、ちょっと照れたように笑うちーちゃんこと、二ノ宮千枝ちゃんは、私の中学時代からの親友。
「中学には購買なんてなかったからさ〜、憧れてたんだけど、全種類制覇しちゃったし、しばらくは、いいかな〜?って」
どうやらちーちゃんの中で、購買ブームは去ったらしい。
「それにしてもさ!」
と、ちーちゃんは勢いよくお弁当を机に置くと目を輝かせて言ってくる。
「うちの学年、カッコいい人多くない?!特に7組なんて目立つ人いっぱいいるし!!」
あぁ〜またその話かぁ。
ちーちゃんは、あいかわらずのミーハーぶりを発揮している。
学年は7クラスまであって、一年生は3階を使ってる。私達は5組で、クラスの番号順にクラス配置されている。
だから7組は5組よりもっと奥。
「ちーちゃん好きだね、そういう話。誰か好きな人でもいるの?」
なんだかちーちゃんの反応が毎回可笑しくてそんな事を訊いてしまった。
「やだー!もうなに言ってるのよ!彼氏いるのに浮気はしません。」
プクーっと頬を膨らませている仕草が可愛いなぁ〜と思って、つい笑ってしまう。
そうだよね。
ちーちゃんは他校に歴とした彼氏さんがいるんだもんね。
私も二人の仲のいいことは中学のころから知っている。
「ごめん、ごめん!冗談だよ。」
「なーんちゃって。怒ってないよん。でもさ、やっぱりかっこいいと目についちゃうんだよね。ほら、観賞用としてさ!」
か、観賞用…??
…植物。
一瞬違う意味にとらえてしまった私だったが…
いやいや。違うよね。
その人達を見ただけで満足!…という事なんだろうか。
自分なりに解釈していると、さらに目の輝きを増して両手を組んだちーちゃんは天を仰いで
「特にうちの学年でいったらやっぱり断トツのトップは…」
と、そこまで言いかけた瞬間。
「キャー!!霧島くーーん!」
「霧島君だぁ〜!素敵!!」
キャーーー
ビクッと一瞬肩がはねた。
び、びっくりした〜。
いったいなんだろ、この騒ぎ?
どうやら7組方面から聞こえてくる。
女子の悲鳴の方へ視線を向けるが、教室の奥からじゃ何が起こっているかよく見えないのでわからない。
「またか〜。今日も凄いなぁー霧島君」
あいかわらずという顔で、ちーちゃんは動じず。
私は疑問符が浮かんでいた。
「え?キリシマくんって?」
そう私が問いかけるとちーちゃんが目を見開いた。
「え!?嘘でしょ、咲希!!前に話したことあるじゃん! ていうか、霧島君を知らない…とか、うちの学年はおろか全校生徒で知らない人なんていないよ?!!」
ごめん…私は知らなかったよ。
「そ、そうだっけ?ちーちゃん、色んな人の名前だしてくるから覚えられなくて。あ!でも確かうちのクラスの杉村君は爽やかなイケメンだ。って言ってたよね」
「おバカ!それは別にそんな重要事項じゃないから覚えてなくてよろしい!」
そ、そんなぁ〜。
それはないんじゃないかな。
一応クラスメイトなわけだし…
どうもこのテの話は疎いみたいで、昔からみんなの話についていけない時がある……。
みんなが騒いでるアイドルやら俳優さんやら、話についていきたくて頑張って名前と顔を覚えるんだけど、
元々あまり興味がないためか、名前を覚えるだけで疲労感が半端ない……。
「ごめんね。気がつくと頭の中で、今日のスーパーの安売りのことや夕飯の献立とか考えちゃってて。」
はぁ〜。
なんだか申し訳ないな。
せっかく色々話をしてもらってるのに。
「咲希の頭の中は男よりも、野菜や魚か〜。まぁ咲希らしいといえば咲希らしいか。でも大丈夫よん♪また教えてあげるからいつでも聞いて!」
ちーちゃんは屈託なく笑って言った。
私はこういうちーちゃんの男気?ある感じが好きだ。
母子家庭の私の事情もわかってくれているから、いつもさりげなく気を遣ってくれる。
でもその気遣いを私に気にさせまいと、明るく振舞ってくれているんだよね。
大事な友達だと改めてそう思う。
「うん!ありがとう。」
「あ。……でもある意味、霧島君のことはちゃんと知っておいた方が咲希の…」
と、ちーちゃんが何やら言いかけたとき。
「……アレ?お弁当が無い!?」
うそ!?
鞄を漁ってみるけど、お弁当が見当たらない!
……もしかして、作ったけど鞄に入れるの忘れた!?
「お、お弁当を忘れてきちゃった…」
「え!」
ちーちゃんも一緒に鞄の中身を見てくれるがやっぱり無い。
「咲希お金ある?今すぐ購買に行って買ってきた方がいいよ!」
慌ててお財布を取り出して所持金を確認…。
なんとか間に合いそう!
「大丈夫!ありがとう。行ってくるね!」
私は急いで購買部へと向かった。
だけど、その後ろから何やら、ちーちゃんの慌てた声が聞こえたような気がしたけど、
時間もないため、とにかく私は廊下へと出ていった……。
私、鳴瀬咲希は一番後ろの窓側から2列目の席に座って、のんびり外を眺めていた。
もう桜の花も散り、若葉が茂っている。
今日は指定のブレザーがいらないくらい暖かい気候だ。
今は4時間目の現代文の授業中…。
小テストの時間で、問題を解き終わった私は暇をもてあましていた。
キーンコーンカーンコーン
「ハイ!そこまで。後ろの人、集めてきて」
先生の合図で教室がガヤガヤと騒ぎだす。
私は集めたプリントを提出して、自分の席に戻った。
はぁ〜お腹すいた!!
伸びをしてお弁当を出そうと鞄を机の上に置くと、
「咲希!お昼食べよ!」
と、元気な声が聞こえてきた。
「うん!あれ?ちーちゃん、今日お弁当なんだ!いつもパンなのに」
「いや〜、たまにはさ。毎日パンだとさすがに飽きてくるからね」
と、ちょっと照れたように笑うちーちゃんこと、二ノ宮千枝ちゃんは、私の中学時代からの親友。
「中学には購買なんてなかったからさ〜、憧れてたんだけど、全種類制覇しちゃったし、しばらくは、いいかな〜?って」
どうやらちーちゃんの中で、購買ブームは去ったらしい。
「それにしてもさ!」
と、ちーちゃんは勢いよくお弁当を机に置くと目を輝かせて言ってくる。
「うちの学年、カッコいい人多くない?!特に7組なんて目立つ人いっぱいいるし!!」
あぁ〜またその話かぁ。
ちーちゃんは、あいかわらずのミーハーぶりを発揮している。
学年は7クラスまであって、一年生は3階を使ってる。私達は5組で、クラスの番号順にクラス配置されている。
だから7組は5組よりもっと奥。
「ちーちゃん好きだね、そういう話。誰か好きな人でもいるの?」
なんだかちーちゃんの反応が毎回可笑しくてそんな事を訊いてしまった。
「やだー!もうなに言ってるのよ!彼氏いるのに浮気はしません。」
プクーっと頬を膨らませている仕草が可愛いなぁ〜と思って、つい笑ってしまう。
そうだよね。
ちーちゃんは他校に歴とした彼氏さんがいるんだもんね。
私も二人の仲のいいことは中学のころから知っている。
「ごめん、ごめん!冗談だよ。」
「なーんちゃって。怒ってないよん。でもさ、やっぱりかっこいいと目についちゃうんだよね。ほら、観賞用としてさ!」
か、観賞用…??
…植物。
一瞬違う意味にとらえてしまった私だったが…
いやいや。違うよね。
その人達を見ただけで満足!…という事なんだろうか。
自分なりに解釈していると、さらに目の輝きを増して両手を組んだちーちゃんは天を仰いで
「特にうちの学年でいったらやっぱり断トツのトップは…」
と、そこまで言いかけた瞬間。
「キャー!!霧島くーーん!」
「霧島君だぁ〜!素敵!!」
キャーーー
ビクッと一瞬肩がはねた。
び、びっくりした〜。
いったいなんだろ、この騒ぎ?
どうやら7組方面から聞こえてくる。
女子の悲鳴の方へ視線を向けるが、教室の奥からじゃ何が起こっているかよく見えないのでわからない。
「またか〜。今日も凄いなぁー霧島君」
あいかわらずという顔で、ちーちゃんは動じず。
私は疑問符が浮かんでいた。
「え?キリシマくんって?」
そう私が問いかけるとちーちゃんが目を見開いた。
「え!?嘘でしょ、咲希!!前に話したことあるじゃん! ていうか、霧島君を知らない…とか、うちの学年はおろか全校生徒で知らない人なんていないよ?!!」
ごめん…私は知らなかったよ。
「そ、そうだっけ?ちーちゃん、色んな人の名前だしてくるから覚えられなくて。あ!でも確かうちのクラスの杉村君は爽やかなイケメンだ。って言ってたよね」
「おバカ!それは別にそんな重要事項じゃないから覚えてなくてよろしい!」
そ、そんなぁ〜。
それはないんじゃないかな。
一応クラスメイトなわけだし…
どうもこのテの話は疎いみたいで、昔からみんなの話についていけない時がある……。
みんなが騒いでるアイドルやら俳優さんやら、話についていきたくて頑張って名前と顔を覚えるんだけど、
元々あまり興味がないためか、名前を覚えるだけで疲労感が半端ない……。
「ごめんね。気がつくと頭の中で、今日のスーパーの安売りのことや夕飯の献立とか考えちゃってて。」
はぁ〜。
なんだか申し訳ないな。
せっかく色々話をしてもらってるのに。
「咲希の頭の中は男よりも、野菜や魚か〜。まぁ咲希らしいといえば咲希らしいか。でも大丈夫よん♪また教えてあげるからいつでも聞いて!」
ちーちゃんは屈託なく笑って言った。
私はこういうちーちゃんの男気?ある感じが好きだ。
母子家庭の私の事情もわかってくれているから、いつもさりげなく気を遣ってくれる。
でもその気遣いを私に気にさせまいと、明るく振舞ってくれているんだよね。
大事な友達だと改めてそう思う。
「うん!ありがとう。」
「あ。……でもある意味、霧島君のことはちゃんと知っておいた方が咲希の…」
と、ちーちゃんが何やら言いかけたとき。
「……アレ?お弁当が無い!?」
うそ!?
鞄を漁ってみるけど、お弁当が見当たらない!
……もしかして、作ったけど鞄に入れるの忘れた!?
「お、お弁当を忘れてきちゃった…」
「え!」
ちーちゃんも一緒に鞄の中身を見てくれるがやっぱり無い。
「咲希お金ある?今すぐ購買に行って買ってきた方がいいよ!」
慌ててお財布を取り出して所持金を確認…。
なんとか間に合いそう!
「大丈夫!ありがとう。行ってくるね!」
私は急いで購買部へと向かった。
だけど、その後ろから何やら、ちーちゃんの慌てた声が聞こえたような気がしたけど、
時間もないため、とにかく私は廊下へと出ていった……。