不良リーダーの懸命なる愛

遭遇

そして放課後ーー




朝から慌ただしかった一日も、時間が過ぎ去り、放課後の図書委員の仕事も無事終わった!



「よし!戸締まりはOKだね。」

「ぴったり18時だね!私はこの後部活に行っちゃうけど、咲希ちゃんはこの後バイト?」


「うん、今日はシフトをズラしてもらえたから。」


図書室のドアの鍵を締めて、唯ちゃんは部室へ、


私は職員室に寄って鍵を返しに行った。





「失礼しました。」


職員室のドアを閉めると、その場で伸びをする。


さてと!


早く帰ってバイト行かないと。


急いで下駄箱へ向かうと、何やら天気があやしい……。


今日は一日中曇ってたけど薄日は差していた。


しかし現在、今にも雨が降ってきそう。


黒い雨雲が空一面に覆っていて、風も出てきて少し肌寒くなってきた!



これは本降りになるかもしれない…!



どうしよう、天気予報はくもりの予報だったから傘持ってきてないよ…。



そして遠くにゴロゴロと雷の鳴っている音が聞こえる!



雷、苦手なんだよね……。



困ったな…。




あ!!



もしかしたらロッカーに折りたたみ傘があったかも!


置き傘を求めて教室へダッシュした。





廊下を駆けていると、前から男子の集団がやって来るのに気がつく!


しかも…。


み、みんななかなかの個性をもっておられる……!


あれはやっぱりあちらの方たち…だよね?



不良集団だと認知したとたん、思わず走っていた足をとめてしまった…!



こ、この人数は…、


10人以上いるんじゃ…?!




ギャハハハハハ!!





向かい側から笑い声が聞こえてきて、それがどんどん近づいてくる!


心臓がドクンドクンと嫌な音をたてる…。


うっ…。



で、でも、早く傘取りにいかないと、雨降ってきちゃうし!!



それに…雷なんて鳴られたら本当に無理!!


そう自分に言い聞かせて奮い立たせるっ!!


よしっ!


すれ違うだけだもん!


大丈夫っ!!



少し俯き加減で、足早に通り過ぎようとした時……!




ドン!





あ!し、しまったっ!!!





すれ違いざまに、一人の男子と肩がぶつかってしまった!!!



「イッテー…!」


ま、まずい!!!



咄嗟に私は、ぶつかってしまった不良の男子に駆け寄り、懸命に謝る!


「す、すみません!お怪我はありませんか!?」


「ったく、気をつけろよ!!」


「っ!!ごごごめんなさい!!」




すると…。




「あれ~?もしかしてピュア子ちゃん?!」



え…?



ぶつかった男子の後ろからぴょこっと顔を出したのは、准平くんだった!



「あ…!じゅ、准平…くん?」


途端に准平くんの顔が、ぱあっと笑顔になる。


「ウソ!!ピュア子ちゃん、俺の名前おぼえててくれてたんだ?!マジでちょーウレシんだけど~っ!!」



それはだって……。



忘れようにも忘れられないよ。



インパクトありすぎて…。



「シン!俺のピュア子ちゃんにそんな怒鳴んなよなあ~!怖がってんジャン!」



そう言ったが早いかで、准平くんは私に抱きついてきたっ!!



「ひゃあ!っあ、あの、准平くん?!」


「まったく、揃いも揃って。女の子をもうちっと大切にしろよなー!?」


「はぁ!?准平に言われたくねーよ!なぁ?」


「だよな!ナンパの引き際も知らねーし、お前!」



ギャハハハハハ



准平くんの友達が急に笑い出す…!


「なっ!っふ、ふざけんなよ?!!よりにもよって、俺のピュア子ちゃんの前で、んな話すんなよなー!!」


「“俺の”って…、どうせ准平が一方的に言ってるだけだろっ?」


「そ、そんなことねーもん!!」


「へ~、ピュア子ちゃんかぁ!名前なんていうの?なかなか可愛いジャン!俺、タイプかも!」


「お。確かに!目がパッチリしてるし、変にケバくなくていいなー…。」



え?え??



なんだか他の友達の顔が近いんですけど?!



でも准平くんに抱きしめられてるから動けないっ!!


「オイ!狼どもめっ!!ピュア子ちゃんのカワイイ顔を見ていいのは俺だけなんだよ!ひっこめ、ひっこめ!!」


准平くんが覗きに来た友達をシッシッ!とあしらっている。


「あの、じゅ、准平くん?そろそろ離してくれない……?」


「えーー!?やだ!!離したらこの狼どもに喰われちまうからやだぁ~~!」
そんなっ!!


さらにぎゅゅっと抱きしめられる!!



ひぃー!



く、苦しい…!


「お、お願い!…離して?私、バイトに遅れちゃう!」



その瞬間、准平くんは目を丸くして…。



「ヤベー!!!いまの “離して?” のところ、もう一回言ってーー!!」



え!?



何!?




なんなの!?




ちょ、ちょっと准平くんっ!!



「確かに!いまの萌えたな!ピュア子ちゃ~ん、俺らにもワンモアチャンスッ!!!」



う……。



もうやだ…!




泣きたくなってきたよ…。





その時!!






スパァーーーンッ!!!






准平くんの頭が勢いよくはたかれた!!
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