不良リーダーの懸命なる愛

昨日の嵐のような雨がすぎさり、久しぶりに晴れもよう!


梅雨の季節も終盤にさしかかってるのか、立葵の花が上まで咲いていた。


こんないい天気なのに学校では大変なことになっていることをこの時点で私は知らない……。





朝学校に来ると、思いもよらない噂が流れていた!



「ねえ!聞いた!?昨日霧島くんが放課後、雨の中で女の子と寄り添って歩いてたんだって~!!」


「うそぉーー!誰よそれ!?」


「わかんない!けど、その場面を3年の先輩が見たって言っててさ、遠目からだったから霧島くんかはハッキリしないんだけど、背格好や髪色が霧島くんで間違いない!!って言うのよ!」


「でも他に見た人いないんでしょっ?」


「相手の女、だれよ!!」


「それが見えなかったんだって~。」


「なにそれっ!信憑性ない話ジャン!」


「霧島くんの気を引きたかっただけじゃねーの?!その3年のオンナ。」


「え~~!!本当に理人だったらショック~~~!」



昨日霧島くんと私が雨の中で車まで歩いてた場面を見ていた人がいたみたいで、
それが学校中の噂になっていた!



教室に着くまでの間、そんな会話が飛び交っていて自然と耳に入ってくる……!!


き、昨日のことがこんなにも噂になってるなんて!!


驚きを隠せないよ…!


改めて霧島くんの女子からの絶大な人気に圧倒されてしまった……。




「咲希!おっはよー!」


ちーちゃんが教室で出迎えてくれた!


「おはよう、咲希ちゃん!」


唯ちゃんも珍しく早く教室に来ていた!


「おはよう。」


二人に挨拶してると、近くにいたクラスメイトの女子から話し声が聞こえてきた。


「霧島くんの噂、聞いた?」


「あぁ~。あの “雨の中で女子と抱き合ってた” っていう噂でしょ?」



………え!??




雨の中で抱き合う!?




私は思わず女の子達の方へ視線を向ける。



「え!?違うでしょ! “雨の中で霧島くんに女の子が無理やり抱きついた!” ってことじゃないの?」


「違う、違う!!“雨の中で霧島くんにキスをせがんでた”んだって!!」



な、な、何それっ!!???




なんかみんな、話が全然違うんですけど!??



噂ってこんなにも話が飛躍してしまうんだ!



「ま~た霧島くんの噂話してるよ。ほんと好きだよね…って、あたしもそうなんだけどさ!」


と、ちーちゃんが私と一緒に噂話をしている女の子達の方を見て、苦笑いをしていた。


「霧島くんの噂話って絶えないもんね。」


と唯ちゃんもちょっと呆れ顔だった。



そうなんだ!



霧島くんの噂話って、そんなに頻繁にあったんだ!



でも、この噂はもちろん、私のせいだよね……。



私と霧島くんが一緒にいたから誤解されてしまったんだ……。



今まで霧島くんの噂話なんて耳にも入ってこなかったし、気にもとめなかったけれど、


今回はそうもいかず…。




なんだか…ファンの子たちに悪いことしちゃったよ…。


このこと、ちーちゃん達に言った方がいいかな?


「……ちーちゃん、唯ちゃん。あのね、実は…」





キャアアーーーー!!





「……え!?…悲鳴!?」


突然女の子達の声が聞こえた!


「お!噂をすれば何とやらじゃない?」


と、ちーちゃんがニヤリと笑って廊下に視線を移す。



「そうみたいだね!それに悲鳴というよりは、声援だね。」


女の子達の黄色い声がどんどん近づいてきた!


「ほら、咲希!噂の的の “霧島王子” のお出ましよ!!」


ちーちゃんのテンションが一気に上がった!



本当だ!霧島くん!



霧島くんは多数の女の子達に囲まれていて、歩きにくそうに顔をしかめていた…。


「す、すごいなあー!ファンは全国で何人いるんだろ?!」


あまりの人気ぶりにそんな疑問が口をついて出てしまった…。


「は!?全国って!!それ規模デカすぎでしょ、咲希!!……ぶはっ!ウケる!!!」



ダハハハハハハハ




ち、ちーちゃん!?


どうしたんだろ急に!!?



ちーちゃんが突如笑い出してしまった!!


ちーちゃんの笑い声が教室中にこだましているよ!


唯ちゃんもクスクスと笑っていた!


「ど、どうしたの!?二人とも!」




その時!霧島くんがこっちを見た!!
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