不良リーダーの懸命なる愛
「あの!わ、私も手伝うから、早く終わらせよう?」



すると准平くんが勢いよくこちらを向く!


「あっ!!ぴゅ、ピュワ子ちゃーーん!!!」



うっ!!



わ、わかってはいたけど!




や、やっぱり!!



准平くんは正面から私に抱きついてきたっっ!!!



「きゃあっ!!」



唯ちゃんはそんな光景を見て唖然……。


「ピュワ子ちゃんだぁー!!なんでこんなトコロにいるの!?俺マジで感激ッ!!」


さらに、ぎゅ~っと力を込められ、私は身動きできなくなる!


「ちょ、ちょっと離して!!今は掃除をやらないとっっ!」


必死に准平くんから離れようと、手で准平くんの胸を押す!



が、びくともしないっ!!




ど、どうしよう!!




やだよ、離してっ!



唯ちゃんも “離してあげて!” と言ってくれてはいるが、准平くんの耳には入っていないみたいで…。



困惑して唯ちゃんはオロオロしている!



「ピュワ子ちゃん、やわらけ~。」




ひゃあ!





「ど、どこ触ってるの!?えっち!!やめて!!」


「やべー!やっぱし声もかわいいーーー!!」



やだよ!




離してよ!!




涙目になってきた……。




誰か!


助けて!!






バーーーーーーーーン!!!!





その時、



後方でもの凄い音がした!!




「准平えぇーー!!!てめぇー、あれほど警告したのに無視しやがったなぁ!!?」




え…?



こ、この声………



まさか!!




「ゲッ!!り、理人さん!!」




やっぱり!



霧島くんだっ!!




ドアをもの凄い勢いで開けた人が霧島くんだとわかったら、

一気に体の力が抜けていってしまった……。




「ピュア子ちゃんっ!!??」


「鳴瀬っ!!」


脱力してしまい、へなへなとその場にペタンと座ってしまった!




な、なんだろ……



霧島くんが来てくれたと思ったら……



ホッとし……




っっ!!




その時、私の目から涙がポロッと溢れてしまった……!!!





次の瞬間、





ダン!!と壁にぶつかる音が聞こえて、
ハッとして視線を向けた!



霧島くんが准平くんの胸ぐらを掴んで壁に押し付けている!



「准平……。よくも鳴瀬を泣かせやがったな……?」



准平くんは顔を歪めていて、声も出せずにいる…!



ま、まずい!!




止めないと!!!


「き、霧島くん、違うのっ!!」


霧島くんの側により、私は懸命に訴える!


「違うの!准平くんは何も悪くない!!」
「けど、鳴瀬を泣かした……許せねー!!!」



っ!!!



今まで見たことのない霧島くんの怒りの顔……!


それを見て背筋が凍ってしまって一歩引きそうになったけど……、



でも!



ここで負けちゃいけない!!



「そ、そうじゃないのっ!」


「じゃあ、なんだっつーんだよ!?」


「ゴミッッ!!!!!」



叫ぶような、自分でもびっくりするほどの声が出た!



霧島くんも面を食らっている…!!



「………………は?」


「あ、あのですね!その……私の目にゴミが入ってて………。そ、それを、准平くんが見てくれてて……!」


霧島くんの腕の力が緩んだのか、

准平くんが大きく息を吐いて、ズルズルと壁にもたれながらしゃがみこんでしまった。


霧島くんが向かい合って真っ直ぐ私を見てくる…!



うっ!



な、なんだか、



嘘を見透かされているような……!?



そ、それは何としても避けなくてはっ!!


「ほ、本当なんですよ!!?わ、私、コンタクトなので、目にゴミが入ってしまうと、それはもう、とんでもない痛みが、はしりましてですね!!」


「…………。」


「そ、それで准平くんに見てもらったら、“涙でゴミを出すしかない!”と言われまして…、そしたら准平くんが私をくすぐってきて!そのくすぐったさに笑いが止まらなくなってしまって、笑いすぎて涙が出てしまったのです!!」


それからも、私の話の勢いは止まらず。


腰が抜けたのも笑いすぎたことが原因だということや、最終的に要らぬ話まで繰り広げてしまい……。


「だから、この際、コンタクトをやめて眼鏡にしようかなと思ったのですが、眼鏡だとレンズが分厚いんです!私、超がつくほど “ド近眼” で、眼鏡のレンズの厚さも “ド近眼レンズ” と名付けたくなるような、恥ずかしいくらいレンズが分厚いんですよ?困っちゃいますよね?それでこの間…」


「鳴瀬。」




ビクゥッッ!!!!




霧島くんが私の話を遮る!




や、やばい……。



私、喋りすぎた!!!
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