不良リーダーの懸命なる愛
第七章

移り香

「ただいま!!」




家に着いた私は急いでリビングに駆け込んだ。


「ごめんね!遅くなっちゃって!急いで夕飯作るからねっ!」


予定よりだいぶ遅れて到着した私。


リビングに明かりがついていたので弟の涼太がいると思い、すぐさま台所に立ち、エプロンをかけていると……。


「おかえり、姉ちゃん。やっぱり言ってたとおり遅くなったんだね。」



え?



言ってたとおり??



その言葉の意味がわからず、側に寄ってきた涼太に話しかける。



「涼太。言ってたとおりって何のこと?」


「千枝ちゃんが言ってたんだよ。『今日の姉ちゃんは遅くなるから、覚悟しときや!』って。あ!あと夕飯ならココにあるよ、ほら!」


「え?!!これ全部涼太が作ったの!?」


ダイニングテーブルの上には、一食分しっかりと作ってあり、お米も炊いてある……!!


まさかここまで涼太がデキる子だったなんて……!!!


ビックリしてしまい、改めて涼太の年齢を頭の中で数えてしまっていた。


するとすかさず涼太がツッコンでくる!


「違うってば!姉ちゃんにメールしておいたって千枝ちゃんたちが言ってたのに、何も知らないの?」



え?



メール?



あ!



そういえば今日全然携帯を開いてないよ!!



急いで鞄から携帯を取り出すと、一件のメールが受信されていた!




【件名:咲希へ


今日は咲希のお家に失敬して、私と唯ちゃんで夕飯を作らせて頂きました★


美味しく作れたので食べてネ!


なので!!


霧島王子とゆっくりしておいで!


それであわよくば素敵な夜を過ごしちゃいな!!!


やっちまいな!!


Good Night (^з^)-☆


千枝&唯】





こ、これは……。



いつの間に……。



呆然とそのメールを見ていると…、



「…………ん?なぁ、姉ちゃん!今日姉ちゃんってなにかつけてるのか?」


「…え?なんで??」


「だってなんか姉ちゃんから嗅いだことないカオリがするぞ?」


「え??」


クンクンと服の匂いをかいでみると…。


「これ……って、霧島くんの!?な、なんで!!」



あ!!



まさか抱きしめられた時に移っちゃったのかも……!!



「キリシマ!?またアイツの名前がでてくるなんて……まさか姉ちゃん!キリシマってやつとデキてんのか!?今日も “勉強会” とか言っておいて、そのキリシマとデートしてたんだな!?」


涼太が訝しげに私を睨んでくる!!


「ちょっ!何を勘違いしてるのよ!!?デートなわけないでしょっ!?ちゃんと勉強はしてきました!」


「じゃあなんで姉ちゃんからそいつのニオイがしてくんだよ!!ハッ!まさか……ね、姉ちゃん………そのオトコといちゃついて……」


「ちょっと!!何を考えてるのよ!!馬鹿なこと言ってないで夕飯食べるわよ!って!洗濯物取り込まないと!涼太、先に食べててね。」


「キリシマめ……!よくもうちの姉ちゃんを〜!」




私は涼太から逃げるようにして2階へと駆け上がる。



その時、フワッと彼の香りが私の鼻孔をくすぐった……。
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