不良リーダーの懸命なる愛

エロ王子

翌日、日曜日ーー




今日は休日だけど、私はバイトが早朝からのシフトで、午後2時過ぎまで働いていた。



「お疲れさまでした!」



はぁ~。


クタクタだ…。


やっぱり朝からはちょっとキツイよね。


でもこれも家計を助けるため!


私のバイト代なんて、たかがしれてる金額だけど、
それでもお母さんが少しでも楽になれるならと始めたバイト。


だから泣き言は言えない。


お母さんは看護師で夜勤とかあって大変だから、自分の出来ることは出来る限りしてあげたいんだ!




それに今日はこれからちーちゃん、唯ちゃんと駅前で会う約束をしている!


ちーちゃん達と休日会うなんて久しぶり!

二人とも今日の午後は部活は無いとのことで、いわゆる “女子会” ?をやるみたい。



なぜ女子会をやることになったのかというと………。





それは昨日の夜のこと。


ちーちゃんに夕飯のお礼の電話をしていた時のことだった。


「今日は本当にありがとね!助かっちゃった。お母さんや涼太も美味しいって言って食べてたよ!」


『本当!?さすが唯ちゃんの味付けだゎ!ちなみに、野菜刻んだのあたし!アハハハ』



そ、そうなんだ。


人参がいやに大きかったことは言わないでおこう…!



『それよりさ、今日どうだった!?霧島くんとのデート♪』


「デ、デートじゃないって!!ただの、べべべべんきょうだったし!そ、その、凄く教え方が上手だったし!ほんと、良かったよ!?」


『……咲希。あんた達何かあったわね!?』



え”!!



「な、な、何も!いたって健全でしたよ!私達は!うん、大丈夫でした、何もなかったです!」


『その反応は……、健全じゃないこともあったのね?!!そうなのね?!』


「ゲッ!!い、いや、あの、そのようなことはっ!!」


『あったのね!?大丈夫よ、咲希!私に全部話してご覧なさい! “愛の伝道師” と言ったでしょ?』


うっ……。



そ、そうなんだけど……、


できれば全部吐き出したいのは山々なんだけど……!



その、アレらの行為を言葉で説明するのはかなり恥ずかしいんだけど……!!!


でもちーちゃんも心配して訊いてくれてると思うし、
ここは正直に出来る限り話せる範囲で話そう!



「あの…ね…、ちーちゃん。その………霧島くんが…“危ないから” って、手を……繋いで…くれたの……。」


『テ?!あぁ!手か!……………え!?手を繋いだ!!?はぁ~、やっぱり霧島王子の名を語るだけあって、紳士だね!!そうか、そうか。良かったじゃん、咲希!!』


「あのっ!実は、ま、まだ、続きがあって…………、」


『へ?続き………………って何っ!??』


ちーちゃんの声の音量が急に大きくなった。


「その……ちょっとしたトラブルがあって、私が勘違いして泣いちゃったら、その……ききき霧島くんが……だ、だ、抱きしめてくれてっ!!」


『……………抱き…しめ……た。』


電話なのでちーちゃんの表情や反応がよくわからない。


でも私は続けた!


「そ、それでね!その…………あの…………私、霧島くんに……き、きききき、キス!を……さささされちゃったの!!」


お、思い切って言ってしまった!!



ざっくばらんとしか言えてないけれど、要点はちゃんと言えたと思う!


でも!


さ、さすがにキスマークのことは言えないっっ!!!!


「ど、どうしようっ!!ちーちゃん、私どうすればいい?!!私、明後日どんな顔して霧島くんに会えばいいのか、わわわからなくてっ!!」


『…………………。』


「ちーちゃん……?」


『キス………ハグ………エロス…』



ハッ!!



ちーちゃんの霧島くんのイメージが壊れちゃうかもっ!!


そう思い、慌てて付けたす!


「でもね!霧島くんは凄く優しくて、本当に私に良くしてくれてね?ずっと笑いかけてくれて、本当にそこは王子様って感じだったよ!!う、嘘なんかじゃないよ!?」


すると携帯から爆音が聴こえてきた!!



『王子が理性を失くしちまったよおおぉぉぉおおぉぉ!!!!』



ち、ちーちゃん?!!


どうしよっ!!



ついに人格崩壊しちゃったよ!!!



「ちーちゃん!お、落ち着い」


『名付けて!【エロ王子降臨】!!!あたしはこの時をどれほど待ち望んでいたことかッ!!!これでもう何も悩むことはあるまぃ…。さぁ!やっちまいな!!!親友のあたしが許可するっっ!!!ダハハハハハハ……』



ちーちゃん……。



なんか、ごめんなさい。



愛の伝道師に相談した結果、このような事態になってしまったのだった……。
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