不良リーダーの懸命なる愛
芽生え
『いじめの主犯格らしいの……。笹原さんとその友達。』
夜。寝る前に私は今日の事を思い出していた。
あの後、ちーちゃんと唯ちゃん、私の三人で近くのファーストフード店に入って二時間くらい話をしていた。
話の内容はもちろん、霧島くんとの事で、ちーちゃんと唯ちゃんに諸々聞かれた私は今まであったことを素直に話していった。
昨日の勉強会のことと、
今日の霧島くんのバイト先での出来事。
その……
キスマークのこと以外はほぼ二人に話をした。
ちーちゃんは常に発狂していて、
唯ちゃんも嬉しそうに話を聞いていて、たまに妄想の世界へ……。
そして、ひと通りのことを話し終えた時には、かなりの時間が経っていて、
私はちょっと二人に訊きそびれてしまった事があった。
それは、唯ちゃんが言っていた笹原さん達のこと……。
唯ちゃんがふと言ったあの言葉が頭の隅に引っかかっていて、今も気になって仕方がない……!
明日、唯ちゃんに訊いてみよっかな。
あともう一つ。私の頭から離れないことが。
あの……笹原さんの、私に対する眼だった。
あの時、一瞬だったけど確かに私のほうを見てた……。
どうしてもそれが気になる。
あの眼は………非難するような…何かを恨んでいるような眼だった……。
でも、もしかしたら私の見間違いかもしれないし…。
二人に相談するのはやめておこう!
そう決めた時だった。
~♪
あれ?
電話??
こんな時間に誰だろ?
携帯を手に持ち、画面を開くと、霧島くんからの着信だった!!
わっ!
き、霧島くんだ!!!
まさか霧島くんから電話がかかってくるとは思わなかったので、通話ボタンを押すのに戸惑ってしまう!
な、なんでかけてきたんだろう!?
話でもあるのかな!?
心を落ち着かせるために深呼吸をして、私は電話に出た。
「も、もしもし?鳴瀬です。」
その第一声は少し声が震えてしまった…。
『あ、咲希。夜遅くに悪いな。……ちょっと話があんだけど、いま時間少し平気か?』
話…?
「はい!大丈夫ですけど。その……話というのは?」
『あの……。そのさ、今日の駅前での事……なんだけど。』
「え?駅前、ですか??」
駅前って……霧島くんと私が、ちーちゃんと唯ちゃんを探してた時の事だよね?
「それがどうかしたんですか?」
『………気に…してねぇのかな…って。』
「え…?」
『だから笹原………今日俺にまとわりついてきた女子が言ってたことをさ。』
「あ!霧島くんのファンの子達のことですよね?」
『……気にしてねぇの?…キスのこと。』
え……。
“また前みたいにウチらにキスしてよぉ!”
“そうそう!やっぱ理人のキスが一番気持ちいいもん!”
ズキッ
!??
なに?
今の…?
なんか、胸が痛む。
そういえば、あの時だってそうだった……!
胸の奥がチクッとして、気にしないようにしてたけど、やっぱり痛む……。
それに、なんだか心がもやもやして……。
なんだろう。
あんまりいい気持ちじゃないや……。
心の原因を探っていた時、急に私の耳に霧島くんの声が届く!
『咲希?』
「え……。あ!ごごごめんなさい!!ちょっと考えごとを!す、すみません……。」
『…………あのさ、咲希には、誤解されたくねぇから、ハッキリ言う。聞いてくれるか?』
え?誤解……って??
「あ、はい。き、聞きます!」
なぜかその場で正座して聞く体制に入る。
『俺……、咲希に出会うまで、興味本位で色んなオンナと付き合ったんだ。数え切れねぇくらい。』
ズキッ
!??
な、なんだろ。
また……。
自分の心の痛みが意思とは関係なく起こることに戸惑う!
だけどそんな私に構うことなく、霧島くんは話を続けた……。
『あの頃の自分を思い返すと、けっこうひでぇコトもしてたなって反省する。そのくらい… “遊んで” た。彼女なんてコロコロ変わってたし、いなくなったら寄ってくるオンナと関係もったり……。そんな最低野郎だった。』
「霧島くん……。」
『ガキだったんだよな!ほんと、笑っちまうくらい!……オンナなんて、みんな同じだと思ってたし、ましてや “一目惚れ” なんてふざけてると思ってた…。』
いま、彼は、どんな顔をしてこの話をしているのだろう…。
そう思ったら私はたまらなく胸が締め付けられた……。
『そう思ってたんだ。咲希と出会うまでは……。』
「え……?」
突然自分の名前が出てきて耳を疑ってしまった。
『だ、だから、その……、他のヤツが何を言っても、それは昔のことだからッ!!だから誤解すんなよ!?今の俺にとって大切な人は、まぎれもなく咲希ダケなんだからなっ!!?』
霧島くん……。
『その…絶対信用しろとは言わない。ただ!咲希には、ちゃんと伝えたかったんだ……。』
「……………。」
『咲希……?』
「誤解なんて……しないよ?」
どうして?
「私は……霧島くんに……感謝したいくらいなのに……。」
『感謝…?』
どうして…?
「私…霧島くんと出会えて良かったです……。」
どうして………
こんなにも、胸がいっぱいになるんだろう?
「霧島くん…。ありがとう…。」
気がつくと私の頬に、温かいものが流れ落ちていた…。
夜。寝る前に私は今日の事を思い出していた。
あの後、ちーちゃんと唯ちゃん、私の三人で近くのファーストフード店に入って二時間くらい話をしていた。
話の内容はもちろん、霧島くんとの事で、ちーちゃんと唯ちゃんに諸々聞かれた私は今まであったことを素直に話していった。
昨日の勉強会のことと、
今日の霧島くんのバイト先での出来事。
その……
キスマークのこと以外はほぼ二人に話をした。
ちーちゃんは常に発狂していて、
唯ちゃんも嬉しそうに話を聞いていて、たまに妄想の世界へ……。
そして、ひと通りのことを話し終えた時には、かなりの時間が経っていて、
私はちょっと二人に訊きそびれてしまった事があった。
それは、唯ちゃんが言っていた笹原さん達のこと……。
唯ちゃんがふと言ったあの言葉が頭の隅に引っかかっていて、今も気になって仕方がない……!
明日、唯ちゃんに訊いてみよっかな。
あともう一つ。私の頭から離れないことが。
あの……笹原さんの、私に対する眼だった。
あの時、一瞬だったけど確かに私のほうを見てた……。
どうしてもそれが気になる。
あの眼は………非難するような…何かを恨んでいるような眼だった……。
でも、もしかしたら私の見間違いかもしれないし…。
二人に相談するのはやめておこう!
そう決めた時だった。
~♪
あれ?
電話??
こんな時間に誰だろ?
携帯を手に持ち、画面を開くと、霧島くんからの着信だった!!
わっ!
き、霧島くんだ!!!
まさか霧島くんから電話がかかってくるとは思わなかったので、通話ボタンを押すのに戸惑ってしまう!
な、なんでかけてきたんだろう!?
話でもあるのかな!?
心を落ち着かせるために深呼吸をして、私は電話に出た。
「も、もしもし?鳴瀬です。」
その第一声は少し声が震えてしまった…。
『あ、咲希。夜遅くに悪いな。……ちょっと話があんだけど、いま時間少し平気か?』
話…?
「はい!大丈夫ですけど。その……話というのは?」
『あの……。そのさ、今日の駅前での事……なんだけど。』
「え?駅前、ですか??」
駅前って……霧島くんと私が、ちーちゃんと唯ちゃんを探してた時の事だよね?
「それがどうかしたんですか?」
『………気に…してねぇのかな…って。』
「え…?」
『だから笹原………今日俺にまとわりついてきた女子が言ってたことをさ。』
「あ!霧島くんのファンの子達のことですよね?」
『……気にしてねぇの?…キスのこと。』
え……。
“また前みたいにウチらにキスしてよぉ!”
“そうそう!やっぱ理人のキスが一番気持ちいいもん!”
ズキッ
!??
なに?
今の…?
なんか、胸が痛む。
そういえば、あの時だってそうだった……!
胸の奥がチクッとして、気にしないようにしてたけど、やっぱり痛む……。
それに、なんだか心がもやもやして……。
なんだろう。
あんまりいい気持ちじゃないや……。
心の原因を探っていた時、急に私の耳に霧島くんの声が届く!
『咲希?』
「え……。あ!ごごごめんなさい!!ちょっと考えごとを!す、すみません……。」
『…………あのさ、咲希には、誤解されたくねぇから、ハッキリ言う。聞いてくれるか?』
え?誤解……って??
「あ、はい。き、聞きます!」
なぜかその場で正座して聞く体制に入る。
『俺……、咲希に出会うまで、興味本位で色んなオンナと付き合ったんだ。数え切れねぇくらい。』
ズキッ
!??
な、なんだろ。
また……。
自分の心の痛みが意思とは関係なく起こることに戸惑う!
だけどそんな私に構うことなく、霧島くんは話を続けた……。
『あの頃の自分を思い返すと、けっこうひでぇコトもしてたなって反省する。そのくらい… “遊んで” た。彼女なんてコロコロ変わってたし、いなくなったら寄ってくるオンナと関係もったり……。そんな最低野郎だった。』
「霧島くん……。」
『ガキだったんだよな!ほんと、笑っちまうくらい!……オンナなんて、みんな同じだと思ってたし、ましてや “一目惚れ” なんてふざけてると思ってた…。』
いま、彼は、どんな顔をしてこの話をしているのだろう…。
そう思ったら私はたまらなく胸が締め付けられた……。
『そう思ってたんだ。咲希と出会うまでは……。』
「え……?」
突然自分の名前が出てきて耳を疑ってしまった。
『だ、だから、その……、他のヤツが何を言っても、それは昔のことだからッ!!だから誤解すんなよ!?今の俺にとって大切な人は、まぎれもなく咲希ダケなんだからなっ!!?』
霧島くん……。
『その…絶対信用しろとは言わない。ただ!咲希には、ちゃんと伝えたかったんだ……。』
「……………。」
『咲希……?』
「誤解なんて……しないよ?」
どうして?
「私は……霧島くんに……感謝したいくらいなのに……。」
『感謝…?』
どうして…?
「私…霧島くんと出会えて良かったです……。」
どうして………
こんなにも、胸がいっぱいになるんだろう?
「霧島くん…。ありがとう…。」
気がつくと私の頬に、温かいものが流れ落ちていた…。