不良リーダーの懸命なる愛

警告

気づくと霧島くんに後ろから覆いかぶされる状態で、抱きしめられていた!!


彼の体温が背中から直に伝わってくる!



体育の後のせいか、抱きついてきた霧島くんの身体は火照っていて、鼓動も速い。


ポタポタと髪から雫が落ちてきて、私の頬にかかってくる!



「き、霧島くん、ちょっと冷たいのですが…!」


「ん?あ、悪ぃ!サッカーで汗かいたから、頭から水かぶったんだ。拭いたつもりだったんだけど。」


あ、だから髪の毛濡れてるんだ。


濡れてるせいか、髪型がいつもと違いペタッとなってストレートになっている。



だからだろうか!?


見慣れない彼を見てこんなにも心臓がドキドキするのは!?



「霧島くん……あの、そろそろ…離してくれませんか……?ひ、人だって来ちゃいますし!」



それにこれ以上触れられたら私の心臓がもたないよ!!



「だって咲希が連れてきたんじゃん。わざわざ “ひとけが無い” 場所にさ。」


そう言うと、お腹辺りにあった霧島くんの手がするりと私の脇の方へ移動し、どんどん上へ…!!


「ひゃっ!!ちょっ、霧島くん!くすぐった…」


「あんま大声出すと、バレるけど?」



耳元でそう囁かれ、じわりと熱が広がっていく…!!



「……っ。」


「咲希、可愛い。もっと触れたい。」



え!!!



「だ、だめだめ!!ちょっ」


「しー…。静かにしないと。」



霧島くんの手が脇に沿って上へ登り、私の胸にッ!!!



「んっ!……っ!」



必死に制しようとするけど、手に力が入らない!!



すると今度はブラウスのボタンをゆっくりと外し始めてきた!!



え……な、なに?!



何する気?!!



危機感をおぼえた私は、



「霧島くんのエッチ!もうだめ…!これ以上はセクハラです!!」


と彼に抗議をする!




が。




「あのさ……そんな可愛い声で拒まれても、逆にもっとしたくなるだけなんだけど……。」



え!!



したくなるって!??



っていうか私が悪いの!?



「そ、そんな!私はこんなところで、その……、」


「咲希……。それ、わざと?煽ってんだろ、俺を。」



なっ!!



「わざとじゃないもん!もうバカ!だめだってば!」


「だから煽ってるんだって……。そういうのが。それに本気で嫌ならもう逃げてる。」


「ン!…や、め……っ。」


「やめない。もう無理。」



プツプツとボタンが外されて、
そして霧島くんの手が直に私の肌に触れる……………






ところだった。





「あぁーー!理人、みっけ!!こんな所にいたんだぁ~?探しちゃったよ~~~!!もう。」



ひゃあぁ!!!


見つかった!!!


急いで霧島くんの手から逃れて、ワイシャツのボタンをしめていく…!



「ココで何してたのぉ??」


声は後ろから聞こえてきたから、霧島くんの大きな背によって見えなかったみたい。


はあぁ~~~!!!


よかった……。



見られてなくて。



こんなところを人に見られたらお嫁に行けないよっ!!



ホッと息をつく私に対して霧島くんは、


「チッ。また邪魔かよ。」



と、苛立っていた…。



少し頬を膨らませた霧島くんが私をじぃ~っと見てくる!



うっ。



だ、だって……


そんな顔されても…!!


人が来ちゃったのは仕方ないことなのに……。



でも、霧島くんの拗ねた顔…もしかしたら初めて見るかも!



ちょっと…可愛いって思っちゃうのは失礼かな……?


そんなことを思ったら笑いそうになってしまい、慌てて顔を伏せた。


「理人!ハイ!数学の教科書!助かったぁ!ありがとっ。」



あ…!


笹原さんだったんだ!


さっきの声。



霧島くんに教科書をにこやかに渡している。


「あ!それと、さっき7組の先生が理人のコトさがしてたような…?」


「………ほんとだろうな?」


「なによ。嘘なんかじゃないってばぁ!そんなに疑うならヤスに聞いてみれば?ほら、早くぅ~!」


「わかったから引っ張んなって!!……あ、咲希。」


「え……?は、はい!!」



霧島くんは笹原さんの手を振りほどいて私の側まで来ると、




「またやろうな?さっきの続き。」


「んなっ!!!!」



そう耳元で囁いて霧島くんは行ってしまった……。



なっ!なっ!!



続きって!!



ああああんなハレンチなこと、学校で出来るわけないでしょーーーーー!!!!!



と、心の中で叫んでいると……。






「鳴瀬さん……だよね?」


「え?」



パッと顔をあげると笹原さんが目の前に立ってこっちを見ていた!


「なんか理人をとりあげたみたいな感じになっちゃってゴメンネ?……お邪魔だった?」


あ……。


気にしてくれてるんだ。


なんか悪いことしちゃったな……。


「う、ううん!そんなことないよ!霧島くんは私のものじゃないし!だから…」


“気にしないで!” と言おうとした。



しかし、



「そんなのあたりまえだよぉ?理人はみんなのモノだもん。だから、もう少し自分の立場をわきまえたほうがイイんじゃないかなぁ?」



え?


どういう意味??



それに笹原さん……、



笑ってるけど、笑ってない。



「じゃないとぉ、身の破滅になるよ?今後。」



破滅……?



なに…それ。



「あの、それってどういう…」


「理人。鳴瀬さんと知り合ってから~、あんまりいいウワサきかないんだよねぇ~。」




っ!!





「頭いいなら、これからすべきコト。わかるでしょ?…じゃあね。」


そう言うと笹原さんはなぜか満面の笑みで立ち去っていった…。





キーンコーンカーンコーン




予鈴が聞こえる。



でもなぜか私はその場から動けずにいた…。



私と知り合ったことによって、霧島くんが悪く言われてるって事……?


それって、なんで……?


いったいどういうことなの!!?
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