不良リーダーの懸命なる愛
悲痛
そんなことがあったなんて……
信じられない…。
「そういえば、体育館の方で見かけたけど。霧島くんたち。」
「ま、まさか、その先輩のリンチ……霧島くんが指示とかしてないよね!?」
「しぃ!霧島くんを悪く言うとウチらまで殴られちゃうって…!」
ガタッ!
「咲希!?どうしたの!?」
「咲希ちゃん…?!」
私はいてもたってもいられなくて、気がつくと体育館のほうへ向かっていた!
そんなわけない!!
霧島くんはそんな人じゃないっ!!!
靴に履き替えるのも忘れて、体育館の方へ…!
「はぁ、はぁ。霧島くん……どこだろ?」
体育館の裏手へまわる。
すると、かすかに声が聞こえてきた。
「お前ら……俺が何も知らねぇとでも思ってんのか?」
え!?
霧島くん!?
私は咄嗟に物陰に隠れる。
よく見ると、明るい色の頭が見える。
もっと前へ出てみよう!
今度は草木の陰に隠れて、顔だけ出して見てみると角度が変わって、ようやく姿がハッキリ見えるようになった。
あそこにいるのは、霧島くんと……
笹原さん?
その他に5人の女の子がいて、複数の声が聞こえてくる。
「えぇ~?何が?」
「理人から誘ってきたから、てっきり遊びに行くのかと思って期待してたのにぃ~。」
「ねぇ!じゃあ今からみんなでカラオケ行こうよ!」
「いいね、いいね!アタシ理人と歌いたいし♪それでぇ~、前みたいに里菜にキスしてほしいぃ!!」
女の子の方は凄く盛り上がっている様子……。
でも霧島くんはというと……!
「おめぇら……、てめぇでシタことわかってんのか!?一人の女を大勢でフクロにするなんてあり得ねえダロッ!!!」
霧島くんの怒号が聞こえてきた!
やっぱり……
さっき言ってた噂は本当だったんだ……。
現実にあったんだと思うと、背筋が凍る思いになった。
「理人ぉ~。里菜たちそんなことしてないよぉ?ナニか証拠があるの??」
「そうだよ!アタシらそんな覚えないし!」
「例えそうだとしてもだよ?昔の理人だったら、ウチらにそんなに言ってこなかったじゃない?何でいまさらなの?」
「そうだよぉ!もう~いいかげん目を覚ましてよぉ~。」
一人の女の子が霧島くんの腕にすり寄った、その時!
「うぜぇ…。」
「「「っ!!!!」」」」
その場にいた女の子全員が息をのむのがわかった。
そのくらい今の霧島くんの一言は冷たく、まるで凍りの矢のよう……!!
鋭く放ったその一声は、普段の彼からは決して発しない声色だった。
私も隠れてる身だけど、足が震えてきてしまった……。
「確かに女同士のいざこざに首をつっこむ気なんて無かった。中学の初めなんて特に。」
霧島くん……。
「でもお前らの、そうやって卑怯なテを使って人を平気で傷つけるのは、マジで我慢ならねぇ時がある!!それは今も昔も変わらねえよ!もうそうやって卑怯なことはすんなよ!!!」
すると笹原さんが霧島くんに一人で猛抗議する!
「だって!!っあの女が悪いんだもん!!!里菜たちのことバカにして!! 理人は、みんなのモノなのに…!それなのに他校の男と付き合ってるくせして、まだ理人のこと狙ってたんだよ!!?だからあんな安い女が理人に近づけないようにしてやったの!!まだ理人を惑わそうとしてたからっ!!」
「 “俺のため”とか …………、っんなコトされても全然嬉しくねぇんだよ!!!!自分のことは自分で決める!!お前らが踏み込んでいい領域じゃねんダヨ!!!そのくらいわかれよっ!!」
霧島くん、すごく辛そう……!
ハタからみればただ怒鳴ってるだけに見えるかもしれない。
でも私には、
それは彼の悲痛な叫び声にしか聞こえなかった。
少しの沈黙の後、笹原さんが吐き捨てるように言った。
「あの女のせいなんだ……?」
え…?
笹原さんの眼がキッと怒りで釣りあがる!
「あの鳴瀬っていう女が理人の “オンナ” なんでしょ!?そうなんでしょっ!!?高校に入ってその女とつきあいだしてから里菜たちのこと相手にしなくなったし!!!あの鳴瀬って女に変なこと吹き込まれたから、だから里菜たちと距離を置いてるんでしょ!!!?あんな女、理人に近づいて何かたくらんでるに決まってる!!!理人にあんな女なんか似合わな…」
「っるせえええぇ!!!!!」
!!!!!
霧島くんの怒号が天をも突ら抜くんじゃないかというほど辺りに響き渡り、そして震えた。
「咲希のことをそれ以上悪く言うなら許さねぇ……!!それと、もし咲希にテを出してみろ……?その時はおめぇら全員覚悟しとけっ!!!!!」
そう一喝すると、霧島くんは一度も振り返らず、笹原さん達のもとから去って行く…。
あ!
こっちに来る!!
サッと屈んで霧島くんが通り過ぎるのを待つ!
霧島くん……、
大丈夫かな……?
心配になって、そっと顔だけあげてみる。
するとそこには傷ついて辛そうな、切なげな彼の横顔が見えた……。
この表情、あの時と似てる……!
それは休日に霧島くんと図書館で勉強した日。
『俺さ、その前に咲希を悪く言った女子にキレちまったじゃん?それで反省してた。』
『あんな脅しみたいマネして、結果的に咲希を護れたことになってねぇーんじゃねぇかって……。』
私を悪く言ってきた女の子達に怒鳴った後、霧島くんが私に打ち明けてきた時。
霧島くんに悲しみと痛みが陰を落とし、苦しんでいた。
霧島くんに、もうあんな顔させたくない!!
絶対に!
私は強く強くそう願った。
信じられない…。
「そういえば、体育館の方で見かけたけど。霧島くんたち。」
「ま、まさか、その先輩のリンチ……霧島くんが指示とかしてないよね!?」
「しぃ!霧島くんを悪く言うとウチらまで殴られちゃうって…!」
ガタッ!
「咲希!?どうしたの!?」
「咲希ちゃん…?!」
私はいてもたってもいられなくて、気がつくと体育館のほうへ向かっていた!
そんなわけない!!
霧島くんはそんな人じゃないっ!!!
靴に履き替えるのも忘れて、体育館の方へ…!
「はぁ、はぁ。霧島くん……どこだろ?」
体育館の裏手へまわる。
すると、かすかに声が聞こえてきた。
「お前ら……俺が何も知らねぇとでも思ってんのか?」
え!?
霧島くん!?
私は咄嗟に物陰に隠れる。
よく見ると、明るい色の頭が見える。
もっと前へ出てみよう!
今度は草木の陰に隠れて、顔だけ出して見てみると角度が変わって、ようやく姿がハッキリ見えるようになった。
あそこにいるのは、霧島くんと……
笹原さん?
その他に5人の女の子がいて、複数の声が聞こえてくる。
「えぇ~?何が?」
「理人から誘ってきたから、てっきり遊びに行くのかと思って期待してたのにぃ~。」
「ねぇ!じゃあ今からみんなでカラオケ行こうよ!」
「いいね、いいね!アタシ理人と歌いたいし♪それでぇ~、前みたいに里菜にキスしてほしいぃ!!」
女の子の方は凄く盛り上がっている様子……。
でも霧島くんはというと……!
「おめぇら……、てめぇでシタことわかってんのか!?一人の女を大勢でフクロにするなんてあり得ねえダロッ!!!」
霧島くんの怒号が聞こえてきた!
やっぱり……
さっき言ってた噂は本当だったんだ……。
現実にあったんだと思うと、背筋が凍る思いになった。
「理人ぉ~。里菜たちそんなことしてないよぉ?ナニか証拠があるの??」
「そうだよ!アタシらそんな覚えないし!」
「例えそうだとしてもだよ?昔の理人だったら、ウチらにそんなに言ってこなかったじゃない?何でいまさらなの?」
「そうだよぉ!もう~いいかげん目を覚ましてよぉ~。」
一人の女の子が霧島くんの腕にすり寄った、その時!
「うぜぇ…。」
「「「っ!!!!」」」」
その場にいた女の子全員が息をのむのがわかった。
そのくらい今の霧島くんの一言は冷たく、まるで凍りの矢のよう……!!
鋭く放ったその一声は、普段の彼からは決して発しない声色だった。
私も隠れてる身だけど、足が震えてきてしまった……。
「確かに女同士のいざこざに首をつっこむ気なんて無かった。中学の初めなんて特に。」
霧島くん……。
「でもお前らの、そうやって卑怯なテを使って人を平気で傷つけるのは、マジで我慢ならねぇ時がある!!それは今も昔も変わらねえよ!もうそうやって卑怯なことはすんなよ!!!」
すると笹原さんが霧島くんに一人で猛抗議する!
「だって!!っあの女が悪いんだもん!!!里菜たちのことバカにして!! 理人は、みんなのモノなのに…!それなのに他校の男と付き合ってるくせして、まだ理人のこと狙ってたんだよ!!?だからあんな安い女が理人に近づけないようにしてやったの!!まだ理人を惑わそうとしてたからっ!!」
「 “俺のため”とか …………、っんなコトされても全然嬉しくねぇんだよ!!!!自分のことは自分で決める!!お前らが踏み込んでいい領域じゃねんダヨ!!!そのくらいわかれよっ!!」
霧島くん、すごく辛そう……!
ハタからみればただ怒鳴ってるだけに見えるかもしれない。
でも私には、
それは彼の悲痛な叫び声にしか聞こえなかった。
少しの沈黙の後、笹原さんが吐き捨てるように言った。
「あの女のせいなんだ……?」
え…?
笹原さんの眼がキッと怒りで釣りあがる!
「あの鳴瀬っていう女が理人の “オンナ” なんでしょ!?そうなんでしょっ!!?高校に入ってその女とつきあいだしてから里菜たちのこと相手にしなくなったし!!!あの鳴瀬って女に変なこと吹き込まれたから、だから里菜たちと距離を置いてるんでしょ!!!?あんな女、理人に近づいて何かたくらんでるに決まってる!!!理人にあんな女なんか似合わな…」
「っるせえええぇ!!!!!」
!!!!!
霧島くんの怒号が天をも突ら抜くんじゃないかというほど辺りに響き渡り、そして震えた。
「咲希のことをそれ以上悪く言うなら許さねぇ……!!それと、もし咲希にテを出してみろ……?その時はおめぇら全員覚悟しとけっ!!!!!」
そう一喝すると、霧島くんは一度も振り返らず、笹原さん達のもとから去って行く…。
あ!
こっちに来る!!
サッと屈んで霧島くんが通り過ぎるのを待つ!
霧島くん……、
大丈夫かな……?
心配になって、そっと顔だけあげてみる。
するとそこには傷ついて辛そうな、切なげな彼の横顔が見えた……。
この表情、あの時と似てる……!
それは休日に霧島くんと図書館で勉強した日。
『俺さ、その前に咲希を悪く言った女子にキレちまったじゃん?それで反省してた。』
『あんな脅しみたいマネして、結果的に咲希を護れたことになってねぇーんじゃねぇかって……。』
私を悪く言ってきた女の子達に怒鳴った後、霧島くんが私に打ち明けてきた時。
霧島くんに悲しみと痛みが陰を落とし、苦しんでいた。
霧島くんに、もうあんな顔させたくない!!
絶対に!
私は強く強くそう願った。