不良リーダーの懸命なる愛

激昂

私の前に立っている人。



それは紛れもなく、彼の姿だった!!




「あい…して…る……って、こ、こんなオンナを?!!可愛くもないし、貧相で、どこにでもいるオンナじゃない!!!そんなオンナ、霧島くんに似合わな…」


すると間髪入れずに霧島くんが割り込んだ!


「おい。もうそれ以上言わねぇ方がてめえの為だ……。今の俺は何しでかすか、正直わかんねえぞ?こっちは “我慢” っていう慣れねぇコトして、タダでさえストレス溜まってんだ!女だろうがブチのめす覚悟は今の俺にはあんだよッッ!!!!」


「……っ!!」



桜子さんが霧島くんの迫力に押されて、腰が抜けたようにその場で尻もちをついてしまった!


他の女の子も、霧島くんに怯えるように震えていて、
そのうちの二人は、目も合わせられないようで、後ろに下がって顔を背けてしまっている……!




霧島くん……


なんだよね?



間違いじゃないんだよね?!



私はまだそのことが信じられなくて、
声も出せず、ただ彼を見つめることしかできなかった…。


霧島くんが静かに、でも桜子さんとの間を詰めて彼女に訊いた。



「……てめぇダロ?笹原に咲希の情報流しやがったのは。」



え…!?




笹原さん!??



突然笹原さんの名前が出てきて、驚く!


それは桜子さんも同じだったみたいで……。


「……き、霧島くん、いったい何を言ってるの?!全然わかんない!それにアタシは、笹原なんていうオンナは、知らな…」


「俺。 笹原が“女” なんて一言も言ってねぇけど?」


「っっ!!!」


「ハッ。ボロ出しやがったな!おかしいと思ってたんだよな。笹原たちが、咲希の存在に気づくのが早すぎる事とか、それで嫌がらせがイキすぎてることが!」



え?



ど、どういうこと??



「俺はあいつらにどんなに質問されても、咲希の名前を出すつもりは毛頭無かったんダヨ!だから、誰かから聞いたんだろうと直感して…」


「で、でも!!その笹原さん?……っていう人が、鳴瀬さんの存在に “偶然” 気がついただけなんじゃ…ない…の……?」


桜子さんが霧島くんの言葉を遮り、冷や汗をかきながら必死に説得している。


「……確かにその可能性も無くはねぇな。」


「そ、そうでしょう!?だったらアタシには、そのことはまるで関係ない…」


「じゃあコレを見てみろよ。お前が笹原と会ってるときの写真だ。」


「……!?」



霧島くんは、自分のスマートフォンを桜子さんに向けた!


そこには何が写っているのかは私にはわからなかったけど、
桜子さんはそれを見て目を見開き、青ざめていた!!



「そ、そんな……!!ア、アタシ知らないっ!!その子が “笹原” なんていう名前だったなんてアタシは知らなかったし、それに鳴瀬さんの話なんてしてないわよ!!!み、みんなその笹原っていう女が仕組んだ………………そう!罠!!罠よ!!!アタシは何もしてないわ!!その写真だって、どうせ笹原って女の仲間が撮って、霧島くんにアタシを悪く思わせるための、手の込んだ細工…」


「てめえ…。あくまでもシラをきるつもりか…?」


霧島くんの声が急に低くなった!!



その声にその場に居た全員が息を飲む!!!



「コレを撮ったのは、“マサ” だ!てめぇが、珍しく他校の女と話してるところをマサが偶然見かけて、てめえのファンどもに見せようと撮ったモンなんだよっ!」


マサ……って、


あの図書館の日に偶然霧島くんと再会した友達のことだよね?



確か桜子さんと同じ高校……。



……………。




あ、そっか!



確かマサさん言ってた!!



桜子さんは学校のマドンナだって!!



だから、霧島くんと同じで高校内に桜子さんのファンの人がたくさんいるんだ!



マサさんはその人達のために盗撮したのか!



「大方てめぇは、俺と咲希に会った翌日、笹原に咲希の名前と存在を知らせたんだろ!?」


「そ、そんなコト、アタシはっ!」


「あの時!!咲希はてめえに自分の名前を名乗ってた!それで笹原に “同じ高校の鳴瀬咲希という女が霧島理人を誑かしている” とでも言って発破をかけたんだろうがッッ!!!違うかッッ!!!?」



「ーーっ!!」



あれほど勝ち気な桜子さんの表情はもう無く、
ただ怯え、震えていた。




桜子さん…。




そんな彼女を見て、私はとても不憫に感じてしまった……。




そして、
そんな桜子さんに霧島くんはもう、情けなどかけなかった!
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