突発性ヴァンパイア・ガール!
私が悲しみに暮れていると、「亜美」と呼ぶ声が聞こえた。


声が聞こえた方を見ると、そこにはクラスのみんなに囲まれていたはずの侑也さんがいた。


どくんと心臓が跳ねる。


「亜美、まさかきみと同じクラスになるとはね」


「あら、それは私と違うクラスが良かったということかしら?」


目を細める亜美に、違うよ、と侑也さんは笑った。


「亜美と同じクラスになれて良かったよ」


「私もよ。侑也、ようこそ私達のクラスへ」


亜美は優しく目を細めて微笑んだ。


侑也さんは亜美に「よろしく」微笑むと、私の方を見てさらに優しいかおをした。


「またきみに会えて嬉しいよ」


そう笑った侑也さんの瞳から、目をそらすことができなくて。


「わ、私もです」と私は笑ってみたものの、全く上手に笑えた気はしなかった。


きっと顔中がひきつっていて、とても可愛らしいものではないだろう。


いや、元から可愛いわけじゃないけどさ。



「ははっ、どうして敬語なの」



侑也さんは笑った。



「今日から僕ときみはクラスメイトなんだ。敬語でなんて話さないで」


ね、と優しい笑顔で見つめられたら、頷くことしかできない。


「さあ、もう一度、改めて自己紹介だね。僕は侑也。君は?」


「私は、うらら。橋本うらら」


「うらら、か。とても素敵な名前だね」


そこでにっこり微笑むなんて、ずるいと思った。


けれどそれ以上に、その微笑みに見入っていた。


「これからよろしくね。うららさん」


蕾が開くような優しい笑顔。


まぶしいと感じるほどだった。


「うららにさん付けは合わないわ。呼び捨てでいいわよ」


亜美が笑顔でそんなことを言う。


「待って亜美さん、ここにきてまだ犬扱いなの!?長いね!とても長いよ!この設定いつまで引っ張るの?!」


叫んで、ハッとした。


侑也さんの前だというのに、叫んでしまった…!


慌てて口元に手を当てたが、意味はない。


恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になる。


ちらり、と侑也さんの様子をうかがうと。


「あははっ。うららさんって面白いんだね」


侑也さんは笑っていた。

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