突発性ヴァンパイア・ガール!
最初はこの銃を触っているのも怖くて震えていた。


吉崎君がこの銃に隠された秘密を教えてくれるまでは。


『それから、この拳銃は他とは違う。


この拳銃は…


ゴールドブレッド。


シルバーブレッドとは異なる、ハンターの武器』


「シルバーブレッドで吸血鬼が死ぬのは、元々は十字架だった銀が吸血鬼の邪悪な部分を全て浄化してしまうからだ。

けれどゴールドブレッドには半分、金が含まれている。

金のおかげで吸血鬼は邪悪な部分を全て浄化されないから、吸血鬼の能力を失っても存在することができる。

おまけにあんたらの吸血鬼成分はほとんどなくなるわけだから、橋本の病気の原因となる物質もそれに伴い消滅するってわけだ。

まさに一石二鳥だな」


そう、この拳銃を渡されたときから、この時を待っていた。

2人を倒すなんてこと、私にはできないし、したくなかった。


私は2人に復讐しようだなんて少しも考えていなかった。


ただ、2人と仲直りをしたかった。


もう一度、笑い合いたいと願っていた。


「あんたら2人は身体的にはもうほとんど吸血鬼ではない。

不老不死ではないし、体の強度も人間とほぼ同じだ。

血を吸って生きる必要もない。

時々血が足りないとか思うかもしれないが、まぁ、乳製品を多く取ればいいんじゃねぇの?

牛乳は血と成分が似ているわけだし」


また、適当にそんなことを言う。


私は呆れて溜息を吐いた。


「どうして?」


亜美は困惑した表情を浮かべた。


「どうして、そんなことをするの?

私はうららを傷つけた。

わざわざゴールドブレッドなんて使って私達を人間にしなくても、そのままシルバーブレッドを打ち込めば良かったじゃない!

それなのにどうして?」


私は無言のまま立ち上がり、横目で講堂裏の最奥、木々の陰にひっそりと佇む噴水を見つめた。


確か告白のジンクスは噴水に関係あることだった。


3秒間噴水を見つめてから気持ちを伝えるとうまくいくらしい。


私は心の中で3秒を数えてから、今までのことを振り返って考えてみた。

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