突発性ヴァンパイア・ガール!
うららとそれからのこと
*
目の前に立ちはだかる扉。
それに手を触れる。
この扉を横に引くだけ。
それだけで中に入れるのに。
立ちすくんでしまう私は、臆病者だろうか。
けれど、やはり、怖い。
怖くてたまらない。
脳にこびりついて離れない記憶。
『ヒドイ』
『サイテー』
クラスメイトの鋭い視線。
怖い。
怖い。
怖くてたまらない。
もし扉を開けたその先にある景色がそれと同じなら。
そう思うと、扉を開けれずにいた。
胸に手を当て、手をぎゅっと握った。
怖いけど。
でも、私はやっぱり、独りじゃないから。
『嫌われても、そばにいる』
そう言ってくれる人が、私にはいるから。
私は大きく深呼吸をすると、扉に手をかけた。
そして教室の扉を開ける。
がらり、と扉は簡単に開いた。
「あー!うらら、おはよー!」
教室の景色は、いつもと変わらなかった。
机の配置も、
板書の残る黒板も、
朝日の差し込み方も、
クラスメイトの笑顔も。
思わず、呆然としてしまった。
辺りを見渡す私を、不思議そうに見ていたのは梨花ちゃんだった。
「うららってば、どうしたの?
挨拶もしないで、不思議そうにキョロキョロしちゃって。
どうかしたの?大丈夫?熱でもあるの?」
梨花ちゃんの顔を見ると、いつもの梨花ちゃんだった。
私を心配して優しい言葉をかけてくれる。
「あ、うん。大丈夫!
梨花ちゃん、おはよう!」
私は笑顔でそう返した。
すると唯ちゃんも話しかけてきた。
「おはよう、うらら」
「唯ちゃん!おはよー!」
「本当にどうしたの?なんだか、うらららしくないね」
心配そうな顔をする唯ちゃん。
こうして話すのが久しぶりなように感じてしまう。
「うん!大丈夫!
2限目の授業の教科書、忘れたかなって一瞬不安に思っただけ!」
2人を心配させたくなくて少し冗談めかしてそう言うと、梨花ちゃんと唯ちゃんはなぜだか納得してくれた。
「そうだったんだ」
2人はそれしか言わないけど、でも絶対、うららならあり得る、とか思っているような感じがする。
まあ、いいけど。
「おはよう、うらら」
声が聞こえて振り返ると、そこにいたのは。
「亜美!」
優しく微笑む亜美だった。
目の前に立ちはだかる扉。
それに手を触れる。
この扉を横に引くだけ。
それだけで中に入れるのに。
立ちすくんでしまう私は、臆病者だろうか。
けれど、やはり、怖い。
怖くてたまらない。
脳にこびりついて離れない記憶。
『ヒドイ』
『サイテー』
クラスメイトの鋭い視線。
怖い。
怖い。
怖くてたまらない。
もし扉を開けたその先にある景色がそれと同じなら。
そう思うと、扉を開けれずにいた。
胸に手を当て、手をぎゅっと握った。
怖いけど。
でも、私はやっぱり、独りじゃないから。
『嫌われても、そばにいる』
そう言ってくれる人が、私にはいるから。
私は大きく深呼吸をすると、扉に手をかけた。
そして教室の扉を開ける。
がらり、と扉は簡単に開いた。
「あー!うらら、おはよー!」
教室の景色は、いつもと変わらなかった。
机の配置も、
板書の残る黒板も、
朝日の差し込み方も、
クラスメイトの笑顔も。
思わず、呆然としてしまった。
辺りを見渡す私を、不思議そうに見ていたのは梨花ちゃんだった。
「うららってば、どうしたの?
挨拶もしないで、不思議そうにキョロキョロしちゃって。
どうかしたの?大丈夫?熱でもあるの?」
梨花ちゃんの顔を見ると、いつもの梨花ちゃんだった。
私を心配して優しい言葉をかけてくれる。
「あ、うん。大丈夫!
梨花ちゃん、おはよう!」
私は笑顔でそう返した。
すると唯ちゃんも話しかけてきた。
「おはよう、うらら」
「唯ちゃん!おはよー!」
「本当にどうしたの?なんだか、うらららしくないね」
心配そうな顔をする唯ちゃん。
こうして話すのが久しぶりなように感じてしまう。
「うん!大丈夫!
2限目の授業の教科書、忘れたかなって一瞬不安に思っただけ!」
2人を心配させたくなくて少し冗談めかしてそう言うと、梨花ちゃんと唯ちゃんはなぜだか納得してくれた。
「そうだったんだ」
2人はそれしか言わないけど、でも絶対、うららならあり得る、とか思っているような感じがする。
まあ、いいけど。
「おはよう、うらら」
声が聞こえて振り返ると、そこにいたのは。
「亜美!」
優しく微笑む亜美だった。