突発性ヴァンパイア・ガール!
「行かなきゃだめ?」


侑也に尋ねると、侑也は「さあ」と首を傾げた。


「でも、行かなかったらどうなるかなって考えるとちょっと寒気がするよね」


なんであなたはそう爽やかな顔で恐ろしいことを言うかな!


けれど私も行かなかった場合を考えただけで背筋が凍った。


あのサボリ魔の制服の内ポケットにはどんな武器が入っているか、想像もつかない。


「じゃあ、ちょっと行ってくるね…」


私は2人に手を振って、その場から離れようとした。


「うらら!」


数歩歩いたところで、亜美に呼び止められる。


私が振り返ると、亜美は言った。



「ありがとう」



私は思わず目を見開いた。



「僕からも言わせて。


ありがとう、うらら」


侑也も穏やかな笑顔でそう言った。


嬉しさと喜びで胸がいっぱいになった。


思わず涙になってあふれ出しそうになる。


「こちらこそ、ありがとう!」


私は目を細めて微笑んだ。


この2人と仲良くなれて本当に良かったと、そう思った。






「ほんと、講堂裏って校舎から遠いなあ」


溜息を吐いた。


そびえるように立っているレンガ造りの講堂を見上げる。


やっぱり大きい。


私は溜息を吐きながら、講堂の横を通り抜け、講堂裏へと足を進める。


ぐるりと講堂を囲むように植えられている木々。

おかげで、今日は晴れ、しかもまだ午前中だというのに暗いったらない。


こんなところに呼び出すなんて、しかもこの時間に呼び出すなんて、やっぱり吉崎君の考えることはさっぱり分からない。分かる気もしない。分かりたくもない。


やっとの思いで講堂裏へ着くと、そこには吉崎君がいた。

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