突発性ヴァンパイア・ガール！
静かで人通りも少ない住宅地を歩く。


いつも見ている風景なのに、こんなにも緊張しているせいだからか、いつもと違って見える。

不思議な感覚だ。


ドキドキと高鳴る胸を押さえながら歩いていると、気がついた時には自分の家の真ん前にいた。


「ここだよ」


振りかえって2人を見ると、2人は私の家を見上げていた。


私の家は豪邸でもなんでもない、至って普通の住宅地に立つ、普通に普通の２階戸建ての家だ、まじまじと見つめられるほど珍しいものじゃない。


「ここが、うららのお家」


亜美は焼き付けるように見ていた。


彼女がこんなにまじまじと私の家を見上げるのも、当然のことかもしれない。


亜美を家に招くのは、今日が初めてだから。


「素敵な家だね」


侑也は微笑んでいた。


ありがとう、と照れ笑いしながら、でもそれを隠すように私は早足で家の門を開け、家の鍵を開けた。


ふと振り返ってみると、2人は門の内にも入らずに、私の方を見て突っ立っている。


「2人とも、どうしたの？入っていいよ？」


私がそう言うと、ようやく2人はゆっくりとしたスピードで入ってきた。


「どうしたの？ぼうっとしてたの？」


私がそう聞くと、亜美は「ちょっと緊張してるだけよ」と少し笑った。


「初めてなの。人のお家にお邪魔するの。今までずっと、誰かと遊んだり集まったりするのは、どこかのお店だったから」


確かに亜美の顔には少し緊張の色があった。


そんな亜美が心底可愛いと思った。


「2人とも、どうぞ。我が家へ」


お邪魔します。


声を揃えて、2人は家に入った。


＊



「改めて」


「侑也、ようこそ、わが学校へ！」


本当はクラッカーも鳴らしたいところだが、近所迷惑にもなりかねないので、「乾杯！」とグラスに注いだジュースを掲げた。


「ありがとう」


侑也は温かく、少し嬉しそうに微笑んだ。
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