突発性ヴァンパイア・ガール!
やがてチャイムが鳴り、自席につく。
私の席は吉崎君の前。
少し気まずいなと思いながら授業を受けた。
授業を受けている間も、後ろからの視線が痛くてたまらない。
思わず振り返った。
まるで刺すような鋭い瞳。
殺意に満ちた、そのオーラ。
なんでそんな目を向けられなければならないのだ。
不快感ばかり降り積もる。
「なんで私、こんなに睨まれるの!?」
ついに怒りが爆発したのは、その日の放課後。
部活や帰宅ですっかり人も減った教室で、私は亜美に話をしていた。
吉崎君に怒る私を、まあまあ、となだめる亜美。
「睨んでないんじゃないの?ほら、吉崎君って目つき悪いでしょ?」
「だとしてもあれは睨みだよ!間違いないよ!」
「うーん、じゃあ、たまたま機嫌が悪かっただけなんじゃないのかしら?」
「そうだといいけど…」
いや、それでもよくはないけどね!
ふう、とため息を吐いた。
窓の外に目をやると、夕焼けのオレンジが穏やかに町を包んでいた。
*
吉崎君に睨まれたのは、あのときだけだと思っていたのに。
来る日も来る日も睨まれ続けて、ついに一週間がたった。
「なんで今日も睨まれるのさ!もう一週間がたつんですけど!?」
「まあまあ、うらら、落ち着きなさいよ」
「これが落ち着いていられるかっつーの!」
「いや、落ち着かないと考えも回らないわよ」
それはそうだけど。
頭では分かっているけれど、感情が追い付いていかない。
大体、なんで一度しか話したことがない吉崎君に一週間も睨まれ続けなければならないんだ。
もし機嫌が悪いだけだとすれば、ただの八つ当たりじゃん!
「それに睨まれているのって私だけだよね?」
「そうみたいね。吉崎君に睨まれたって話、うらら以外からは全く聞かないもの」
「なんで私だけなの!?」
そんなこと私に聞かないでよ、と亜美が軽くため息を吐いた。