突発性ヴァンパイア・ガール!
薄ピンクの付箋が赤く血の色に染まる。


そして付箋をはがされた。


私は自分の目を疑った。


「き、黄色?」


先ほどまで私の真っ赤な血が付着していた付箋は、血の部分だけ黄色に変わっていた。


なぜ、どうしてそんなことになるの?


赤色リトマス試験紙が青色に変わるのは分かるけれど、これは納得がいかない。


どうして、こうなった。


「ちょっと、これ、どういうこと?説明し…」


説明しなさいよ。


そういうつもりだったのに、言えなかった。


吉崎君が目を見開いて固まっていたからだ。


「よ、吉崎君?」


「…あぁ、そういうことか」


「はっ!?何が!?」


全くついていけない。


吉崎君は私の方に向き直って言った。


「あんたは吸血鬼ではない」


これほど当たり前のことを面等向かって真顔で言えるものかと少し関心もしてしまう。


「ほらね、言ったでしょう?

私は吸血鬼じゃなくて、人間だもの」


少し誇らしい気持ちで言ったのに、彼は。


「けれど、人間でもない」


「はあ?」


更に私の理解を超えることを平気で言うんだ。


「どういうことよ?人間じゃないって。私、人間だけど?両親も人間だけど!?」


寧ろそれ以外の種族を先祖に持っていたら驚きだよ。


「あんたの両親は関係ない。あんたが人間じゃないと言っている」


「意味わかんないよ、そんなの!ちゃんと説明しなさいよ!」


「それを説明の途中で口を挟んできたのはあんただ」


「なんだって!?」


うっさい。

吉崎君は一喝して、言葉を続けた。


「俺はあんたが吸血鬼だと思っていた。

吸血鬼発見紙で薄桃色の紙が赤に変われば吸血鬼、青に変われば人間だと判断できる。

しかしあんたの場合は黄色に変化した。

黄色は、あんたが病気であることを示している」


「病気?」


ためらいながら恐る恐る尋ねる。


ああ、と吉崎君は頷いた。


「病名は、突発性吸血鬼症候群」


私は耳を疑った。


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