突発性ヴァンパイア・ガール!
「私は戦う。

元通りの人間に戻るたために、戦う。

覚悟ならできてる。

もし私が危険に巻き込まれてしまっても、助けなくてもいい。

だから、一緒に戦ってほしい」


吉崎君は黙ったままだった。


そしてため息を吐いた。


「あんた、俺を何だと思ってんの?」


呆れた顔をしながら、言った。


「吸血鬼ハンターが一般の人を見殺しにするわけないだろ?ったく、勝手なことばかり言いやがって」


そして急に真剣な顔になって、私の方を見て言った。


「俺と一緒に戦う気なら、俺は吸血鬼ハンターとしてあんたのことは死なせない。

みすみす一般人を死なせるようなことはしない。

でもけがをしない保証はないし、殺される可能性はある。

吸血鬼と戦うのは、想像以上に危険だ。

それでもあんたは戦うのか?」


「戦うよ。どんなに危険でも、戦うよ」


即答だった。


これ以外に答えなどない。


吉崎君は黙ってしまった。


しばらくしてようやく口を開くと「足を引っ張るな」と言った。


「それが条件だ」


「一緒に戦ってくれるの?」


吉崎君は頷きはしなかった。


しかし否定もしなかった。


私はそれを肯定だと受け取った。


「でも、俺があんたの願いを聞くだけってのはフェアじゃない」


吉崎君は言った。


「だからあんたは俺の言うことを聞け」


分かったか、と言われる。


分かるわけないだろう、とツッコみたくなる。


「は!?」


「俺にあんたの願いを聞いてやる義理はない。

ギブ・アンド・テイク、相互扶助でなければこちらの納得がいかない」


当然のことだろう、とでも言うように彼は言う。


「いやいやいや!ちょっと待ってよ、それは…」


「嫌ならば、交渉決裂だ。俺はお前と一緒に戦うことはしない」


吉崎聖は、嫌な奴だ。


初めて会った時から、そう思っていた。


しかし、これ程。


これ程までに嫌な奴だとは思ってもいなかった。

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