突発性ヴァンパイア・ガール!
*
仕方なく学校をサボった私は、吉崎君と共に駅へ向かい電車に乗った。
それは今まで私が活用したことのない路線で。
降りると言われた駅名も、聞いたことのない駅名だ。
駅から出た瞬間、思わずあたりを見渡した。
見知らぬ土地に来た、という不安感や孤独感が体中を駆け巡った。
そんな私のことなど気にしない様子で、吉崎くんはスタスタと歩いていく。
足が長いのか、歩く速度が私よりずっと速い。
「ちょっ、待ってよ!」
私は慌てて走り、追いついた。
吉崎君の少し後ろをついていくように歩く。
昼間だというのにお日様は顔を出さない。
厚い雲に覆われた空は濃い灰色だ。
周りの景色を見ても、私が知らない場所なのでさっぱり分からない。
平日の、それもいつもは学校で授業を受けているはずの時間に、こうして見知らぬ土地で、大嫌いな吉崎君と一緒にいるなんて、不思議で仕方がない。
夢なのか現実なのか、どっちつかずの心地のままでひたすらに歩いた。
「ここだ」
吉崎君は唐突に立ち止まり、振り返った。
目の前に広がるのは、住宅街から外れた、人気のない場所にぽつんとあるような倉庫の前だった。
そっと見上げると、倉庫は鉛のようなくすんだ色をしていた。かなり前に建てられたものだろうか。
なんだか寂れて、人が頻繁に出入りするような倉庫ではないような感じがする。
「ここ、どこ…?」
「廃倉庫。今はもう誰も使っていないし、誰のものでもない倉庫だ」
「なんでここに来たの? ここに何かあるの?」
すると吉崎君は「うるさい」と言った。
「質問をいくつも同時に聞いてくるな」
面倒くさそうな顔をしている。
「ここに来た理由も、あとで分かる」
そういうと、吉崎君は倉庫の中に入ろうと扉に手をかけた。
ギイイ、と金属のこすれる音がして、その扉は割と簡単に開いた。
呆然と見ていると、おい、と呼ばれた。
「何をぼうっとしている。こっちだ」
曖昧な返事を返して、私も吉崎君の後に続いてその倉庫に入った。
仕方なく学校をサボった私は、吉崎君と共に駅へ向かい電車に乗った。
それは今まで私が活用したことのない路線で。
降りると言われた駅名も、聞いたことのない駅名だ。
駅から出た瞬間、思わずあたりを見渡した。
見知らぬ土地に来た、という不安感や孤独感が体中を駆け巡った。
そんな私のことなど気にしない様子で、吉崎くんはスタスタと歩いていく。
足が長いのか、歩く速度が私よりずっと速い。
「ちょっ、待ってよ!」
私は慌てて走り、追いついた。
吉崎君の少し後ろをついていくように歩く。
昼間だというのにお日様は顔を出さない。
厚い雲に覆われた空は濃い灰色だ。
周りの景色を見ても、私が知らない場所なのでさっぱり分からない。
平日の、それもいつもは学校で授業を受けているはずの時間に、こうして見知らぬ土地で、大嫌いな吉崎君と一緒にいるなんて、不思議で仕方がない。
夢なのか現実なのか、どっちつかずの心地のままでひたすらに歩いた。
「ここだ」
吉崎君は唐突に立ち止まり、振り返った。
目の前に広がるのは、住宅街から外れた、人気のない場所にぽつんとあるような倉庫の前だった。
そっと見上げると、倉庫は鉛のようなくすんだ色をしていた。かなり前に建てられたものだろうか。
なんだか寂れて、人が頻繁に出入りするような倉庫ではないような感じがする。
「ここ、どこ…?」
「廃倉庫。今はもう誰も使っていないし、誰のものでもない倉庫だ」
「なんでここに来たの? ここに何かあるの?」
すると吉崎君は「うるさい」と言った。
「質問をいくつも同時に聞いてくるな」
面倒くさそうな顔をしている。
「ここに来た理由も、あとで分かる」
そういうと、吉崎君は倉庫の中に入ろうと扉に手をかけた。
ギイイ、と金属のこすれる音がして、その扉は割と簡単に開いた。
呆然と見ていると、おい、と呼ばれた。
「何をぼうっとしている。こっちだ」
曖昧な返事を返して、私も吉崎君の後に続いてその倉庫に入った。