突発性ヴァンパイア・ガール!

放課後とアイスティー

サボリ魔の吉崎君と学校をサボってからというものの、来る日も来る日も私は吉崎君に呼び出され、吸血鬼退治を共に行っていた。

ようやく通常通り学校に通えたのは、吉崎君と最初に学校をサボってから3日後のことだった。

クラスメイトの挨拶に、おはよう、と何とか挨拶を返し、フラフラとした覚束ない足取りで席に着いた。


「おはよう、うらら。なんだか久しぶりね!」


「あ、亜美…おはよう…久しぶり…」


亜美は焦った様子で私のもとに駆け寄ってきた。


「ど、どうしたの?何だかやつれているわよ?」


「そ、そうかな?は、ははは...」


「そうかな?じゃなくて、そうなのよ!」


珍しく亜美が怒った。


「本当に、どうしたの?ここ3日、あの元気が取柄のうららが学校を休むなんて」


心配そうな瞳が私を責める。

吉崎君と共に学校をサボって吸血鬼退治をしていたなんて、とても言えない。


「えーっとね…ちょっと風邪を引いただけだよ」


もう治ったし大丈夫だけど、と付け加えると、亜美は安心したのか腰に手を当ててため息を吐いた。


「疲れが出たのかしらね、バカは風邪を引かないはずだもの」


「ナチュラルに酷い!」


私がバカだとこうさらっと言ってくるあたり、本当に亜美に見下されていると感じる。


「でも、休んだ理由が風邪で良かった。何か事故に巻き込まれていたりしたら、って考えただけで寒気がするもの」


「亜美…」


亜美に私はバカだと思われているし、見下されていると感じることもあるけれど。

それ以上に優しいから、亜美を嫌いになれない。


「本当だよ」


後ろから声が聞こえて振り返ると、侑也だった。


「侑也!」


「うらら」


侑也は変わらず優しい笑みをくれた。


「久しぶりにうららに会うような気がするね」


「たった3日しか侑也と離れていなかったのに」


私が笑って答えると、侑也は首を横に振った。


「たった、じゃないよ」


私が首を傾げると、侑也は言った。


「長かったよ」


「え?」
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