突発性ヴァンパイア・ガール!



「美味しかったわね!」


パン屋さんから出てくると、亜美は比較的興奮して言った。


「ね!特にメロンパン!焼きたてだったなんて幸せすぎ!」


「…あなた、本当にメロンパンが好きね…」


亜美はなぜか少し呆れたように言った。


「美味しいじゃん!メロンパン!」


「あー、はいはい。良かったわね」


「それ全然心がこもってないね!」



「ねーねー、そこの黒髪セミロングの彼女」


見知らぬ声に振り返ると、それは私の知らない2人組だった。


「うわ、やっべー、超美人じゃん!」


「ねー、俺らと一緒に遊ばねえ?」


そう、これはいわゆるナンパというやつで。


亜美は美人さんだから、こういうことに出くわすことも少なくない。


「亜美、知り合い?」


「そんなわけないでしょ」


亜美は私に溜息を吐くと、男達に向かっていった。


「悪いけど、あなた達と遊んでいるような時間はないわ」


行こう、うらら。


亜美が私の手を引っ張って男達の横を通り過ぎようとすると、反対の腕を男達に掴まれた。


「こっちの茶髪ツインテールの子もかわいーじゃん」


こいつらに可愛いって言われても全然嬉しくない。


「手、離してよ」


「一緒に遊んでくれたらね」


薄笑いを浮かべた男達に嫌気がさす。


大体、誰がこんなチャラチャラした見知らぬ人と遊ぶかっつーの。


睨み付けていると、腕を掴んでいる男の力が強くなった。


「っ痛い!」


「ほらぁ、遊ぼうよ。なあ?そこの美人ちゃんもお友達が痛い目にあってほしくないだろー?」


亜美が苦い顔をして「最低」と呟いた。


その時だった。



「ぐわああ!?」



男が、飛んだ。
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