突発性ヴァンパイア・ガール！

「うららも大変だけど、侑也も大変みたいよ？」

「え？」


亜美がそういうので侑也の方を見ると、私はぎょっとした。


侑也の周りを何人もの女の子が囲っている。


侑也は困ったように微笑みながら女の子たちの話を聞いていた。


「寅木くん！浮気したうららなんてやめてわたしと付き合おうよ。わたしだったら寅木くんのこと裏切ったりしないよ」


耳を澄ますと、そんな甘く誘惑するような声が聞こえる。


「それにわたし、ずっと前から寅木くんのこと好きだったんだ」

告白されてる！

目を見開いて、その様子をじっと見ていた。


「最近、あんたがずっと噂の否定をしているように、侑也もずっと告白されてるのよ。

うらら達を別れさせて侑也と付き合うのはこのタイミングしかないってね」


亜美の言葉を聞いて凍り付いた。

も、もし、すごく可愛い女の子が侑也に迫ったとしたら、侑也、私をフッてその子と付き合ったりするのかな…？


不意に生まれた疑問のような不安。


しかし亜美がすぐに言った。


「ま、侑也はうらら一筋だから、全部断ってるみたいだけどね」


亜美がため息を吐いて「本当にバカップル」と言った。


もう一度侑也の方を見ると、侑也が先ほどの告白の返事をしているところだった。


「あのね、うららは浮気なんかしてないんだよ。

それにうららが好きだし、うららは僕の大切な彼女なんだ。

だからきみとは付き合えない。ごめんね」


女の子は泣き出してその場を走り去ってしまった。


すると次の瞬間にまた別の女の子が侑也に告白している。


「うららが心配することはないわよ。

侑也はうららと別れる気はさらさらないみたいだし」


亜美が目を細めて笑みを浮かべた。

それは、亜美が必死に私を励まそうとしてくれているということだと分かった私は亜美に抱き着いた。


「ちょっ、うらら！？」


「亜美、大好きー！」


慌てふためく亜美に構わず、ぎゅーっと抱き着く。


私は本当に周りの人に恵まれている。


彼氏、親友、みんな、私を愛してくれている。