突発性ヴァンパイア・ガール!


噂はだいぶ下火になってきた。

2ヵ月は悩まなければならないと思っていたのに、1週間ほどで噂は落ち着いたのですこし嬉しかった。

これからまた普段通りの生活が送れると、そう思っていたのに。


現実は、甘くはない。



翌朝、教室の扉を開けたところで、またも多くの人に囲まれた。


今度は男女問わずの円だ。


なんだかみんな怒っているような、そんな様子だ。


みんなに責められているような、嫌な感覚がする。


「な、何?

ど、どうしたの?」


遠慮がちに尋ねると、梨花ちゃんが怒った様子で言った。


「うらら、最低だよ。

こんなにうららがひどい人だなんて思わなかった」


「え?」


それ、どういうこと?

そう問う間もなく、腕を引っ張られて、また別の輪に押し込まれるようにして入る。


その円の中心にいたのは、


「あ、亜美?」


亜美、だった。


ただいつもと様子が違った。


亜美は席について、顔を下に向け、肩を震わせていた。


その背中を唯ちゃんがさすっている。


「な、泣いてるの?」


私の問いかけに誰も答えない。


「どうしたの?亜美、何があったの?

怪我したの?誰かに何か言われたの?

私にできることなら…」


私にできることなら、なんだってする。


そう言おうとしたけれど、言葉をさえぎられた。


「誰のせいで、亜美が泣いてると思ってるの!?」


クラスメイトの声だった。


「うららのせいで、亜美は泣いているんだよ!?」


「え…?」


私の、せい?


理解できなかった。


分からなかった。


私が亜美に一体何をしたというのだろう。


しかしみんなは私が亜美に何かしたと思い怒っているらしかった。


「うらら、自分が何をしたか分からないの?」


「うららが亜美から寅木くんを奪ったんでしょ?

亜美の彼氏だったのに」


「は?」


耳を疑った。


私が?

亜美から?

侑也を奪った?


「な、なにを言って…」


「もう、もう、いいの」


亜美が涙声でそう言った。


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