突発性ヴァンパイア・ガール!
「もう、いいの。亜美は悪くないの。私が悪かったの。私が…私が、言ってなかったから…だから、うららは悪くないの…っ。

でも、もう…2人を見てるのは、限界で…っ」


亜美は泣き崩れた。

唯ちゃんが亜美の背中をさすりながら励ましの声をかける。


私はそれを呆然と見ていた。


これは、夢だろうか。


夢であってほしい。


そしてすぐに覚めてほしい。


だって、昨日まで幸せだった。


昨日まで、みんなで笑い合っていた。


それなのに、こんなことになるなんて。


「うらら、最低」


ぐさり、心臓に突き刺さった。


「橋本がここまで悪いヤツだとは思わなかった」


「あの亜美を泣かせるなんて」


「親友の彼氏を取ったなんてな」


ぐさり、ぐさり。


言葉が突き刺さる。


「違う、私は…」


「ヒドイ」


「サイテー」


誰も、何も聞いてくれない。


「うららのこと、信じてたのに」


昨日まで信じてくれていた梨花ちゃんさえも。


亜美は手で顔を覆って泣いていた。


私はいてもたってもいられなくなって、教室を飛び出した。


私を引き留めようとしたクラスメイト達の手をはがして、逃げ出すように教室を出た。



走って、


走って、


走った。


息が切れるのも、

先生の怒鳴り声も、


全部、全部、知らないふりをして走った。



たどり着いたのは屋上だった。


もうそこしか、私には残されていなかった。


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