突発性ヴァンパイア・ガール!
侑也は固まった。
「侑也のことは好きだよ。
だけど、それは恋人としてとうことじゃないんだ。
友達として、好きなの」
侑也は遠い目をしながら、ただ腕を握る力を強くした。
「違うよ」
侑也は言った。
「それは勘違いだよ」
その声は決して荒れてはいなかった。
けれど、恐ろしいほどに穏やかだった。
「違う、勘違いじゃないよ、だって、私のことをいちばんよく分かってるのは私だもん!」
「自分のことがいちばん分からないのも自分なんだよ、うらら」
侑也は間髪入れずに反論した。
「そう。うららは勘違いをしているんだよ。
うららは僕が好きなんだ。
その好きという区分を考えたときに間違ってしまっただけなんだよ」
なめらかに、穏やかに、言葉が紡がれていく。
それなのに、言葉の温度は冷たい。
「うららは僕が好きなんだよ」
__オマエガ好キナノハ侑也ダ__
頭の中で反響するみたいに言葉が響く。
ガンガンと殴られるような痛みに、思わずうずくまった。
「ち、が…っ」
頭を押さえるけれど、痛みは止まらない。
__オマエ好キナノハ侑也ダ__
繰り返し響く言葉。
赤く染まりつつある視界。
この感覚を私はよく知っている。
突発的に吸血鬼になる、その瞬間だ。
「違う、私は…」
赤く反転しては元に戻る視界は歪んでいく。
「私が好きなのは…」
痛みは頭だけではなく全身を襲う。
辛い。
苦しい。
そんな思いだけが浮かぶ、もうろうとした意識の中で、声が聞こえた。
『俺はあんたを信じてる』
体中が痛くて、苦しいのに、私は思わず笑いたくなった。
だって、私は。
たったそれだけの言葉で、こんなにも強くなれる。
必死の思いで立ち上がる。
強い痛みのせいで思うようには立ち上がれずフラフラしてしまうが、それでも必死の思いで全身に力を入れる。
赤く染まっては元に戻る歪んだ視界の中で、必死に侑也を見ながら言った。
「私が、好きなのは…」
その名を口にしようとしたその時だった。
「橋本!」
声が聞こえた。
「どう、して」
はっきりしない視界でとらえた、その人物の姿は。
「どうして、ここにいるの…?
…吉崎君」
吉崎君だった。
「侑也のことは好きだよ。
だけど、それは恋人としてとうことじゃないんだ。
友達として、好きなの」
侑也は遠い目をしながら、ただ腕を握る力を強くした。
「違うよ」
侑也は言った。
「それは勘違いだよ」
その声は決して荒れてはいなかった。
けれど、恐ろしいほどに穏やかだった。
「違う、勘違いじゃないよ、だって、私のことをいちばんよく分かってるのは私だもん!」
「自分のことがいちばん分からないのも自分なんだよ、うらら」
侑也は間髪入れずに反論した。
「そう。うららは勘違いをしているんだよ。
うららは僕が好きなんだ。
その好きという区分を考えたときに間違ってしまっただけなんだよ」
なめらかに、穏やかに、言葉が紡がれていく。
それなのに、言葉の温度は冷たい。
「うららは僕が好きなんだよ」
__オマエガ好キナノハ侑也ダ__
頭の中で反響するみたいに言葉が響く。
ガンガンと殴られるような痛みに、思わずうずくまった。
「ち、が…っ」
頭を押さえるけれど、痛みは止まらない。
__オマエ好キナノハ侑也ダ__
繰り返し響く言葉。
赤く染まりつつある視界。
この感覚を私はよく知っている。
突発的に吸血鬼になる、その瞬間だ。
「違う、私は…」
赤く反転しては元に戻る視界は歪んでいく。
「私が好きなのは…」
痛みは頭だけではなく全身を襲う。
辛い。
苦しい。
そんな思いだけが浮かぶ、もうろうとした意識の中で、声が聞こえた。
『俺はあんたを信じてる』
体中が痛くて、苦しいのに、私は思わず笑いたくなった。
だって、私は。
たったそれだけの言葉で、こんなにも強くなれる。
必死の思いで立ち上がる。
強い痛みのせいで思うようには立ち上がれずフラフラしてしまうが、それでも必死の思いで全身に力を入れる。
赤く染まっては元に戻る歪んだ視界の中で、必死に侑也を見ながら言った。
「私が、好きなのは…」
その名を口にしようとしたその時だった。
「橋本!」
声が聞こえた。
「どう、して」
はっきりしない視界でとらえた、その人物の姿は。
「どうして、ここにいるの…?
…吉崎君」
吉崎君だった。