爽やか王子は悪魔のような人でした



学校の帰り道。




「せ、せっ…せ、せ……」



七瀬君のことを下の名前で呼ぼうとするけどなかなかできない。



くっ…こんなに難しいとは思わなかったよ。



「あ?どうかしたのか?」



変な目で見られる私。
うん、変な人だよね私。

ずっと せ って言ってるだけだもん。



「せ、せ、せっ……!」


「せ?」



「せ、世界一周したいなー、なんて。」



そんなことを言ってしまいため息。


ダメだ私、たった3文字も言えないのか。


「うーん、そうか?乗り物酔いそうで嫌だな。」



「あ、そっか。」


もう一回チャレンジだ。
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