爽やか王子は悪魔のような人でした



荒木くんは同じ中学であまり会いたくなかった人。


私をからかったりイジメてきたりしてきて苦手だった。




「おー、夏川と同じ高校なんて知らんかった。よろしくな。」




「う、うん、よろしくね。
じゃ、私行かなきゃだから。」


あんまりよろしくしたくない。
そんな思いで離れようとすると腕をつかまれた。




「夏川、一緒に飯食わね?」



「あっ、や、その…」



断ろうとするけど言葉が出ない。


ちなみに、家庭科の授業のときにいろいろ言ってきたのもこの人だ。



「誰かと食う約束してんの?」



「う、うん、してるんだ、ごめんね?」



私がそう言うと荒木くんは渋い顔をした。
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