爽やか王子は悪魔のような人でした



私がそう言うと七瀬君はガタッと立ち上がった。



「へぇ、キスしてたの、見間違いなのかな?」



「………っ…!」



バレてた、見られてた。

あの場面だけは見られたくなかったのに。



「あのさ、おまえ荒木のこと苦手って言ってなかった?

なのに2人きりで会って、キスまでしちゃうの?」




「ち、違うのっ!誤解なのっ!」



ギュッて手を握るも振り払われる。



「ふざけんな。なにが誤解なんだよ。
2人で会ってたのもキスしてたのも事実なんだろ?」




「…っ、本当だけど不可抗力っていうか…」



涙目で訴えるも聞いてくれない。



「言い訳なんて見苦しいだけだ。
本当、最低だな、浮気者。」



…最低、浮気者。



言葉のトゲが心に突き刺さる。



ーーズキズキ


胸が痛む。話しくらい聞いてよ……っ!



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